novel

□ 君がいると、
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何だか、最近イライラする。
それは決まって、君がいるときに‥‥


「あらぁ、大丈夫ですかぁ?」

「スゥにお任せですよぉ。」

いつもにこにこ。
笑顔を振りまいて誰にでも接するスゥ。

少し前までは偉いなぁとか感心してたのに、最近はそんなスゥを見ているとイライラして仕方がない。
雛森さんや他のしゅごキャラと話してるのを微笑ましく見てた筈なのに、目を背けたくなる。

(一体何なんだ‥‥。)

訳の分からないイラつきを気にしないようにして、少し苦めの珈琲を煎れる。
ほんのり苦い味は、心の何処かと同じ感覚を醸しだした。

(‥はぁ‥‥。)

ぼんやりと、しかし確実にそちらの方向に視線を向けると予想していた風景とは異なる。
ガーディアンは帰ったのかいなくなり、当然しゅごキャラもいなくなる。

暫しぼーっとした後、そろそろ俺も帰るかと思いゆっくりと立ち上がった。

「せんせー。」
「‥!!」

背後からの唐突な呼び掛けに大袈裟な反応をしてしまった。驚いて振り返ると、そこにはふわりと浮かぶ君。

「せ、せんせー、ごめんなさいですぅ。大丈夫ですかぁ?」
「‥あぁ、うん、大丈夫‥。」
「本当ですかぁ?よかったですぅ。」
「帰ったんじゃなかったの‥?」
「せんせーが見えたから遊びに来たんですが、‥迷惑でしたか?」

‥‥あぁ。
何だか心の苦い部分が薄くなっていくようだ。

「そんな事ないよ。いらっしゃい、スゥ。」
「‥はい。こんにちは、せんせー。」

名前の分からないこの感情も、君といれば分かるようになるのだろうか。


何だか、最近心に苦くて甘い痛みが走る。
それは、君といるときに‥‥






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