novel
□ 最後のディーレ
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俺を、信じてくれる?‥‥―――
「はい、すぐに用意しますね。」
ツナさんから話があると急に呼び出された。
といってもこんなのは日常茶飯事で、報告書か任務の話でしょうねと考えながらボスであるツナさんの部屋に急いだ。
因みに連絡は内線。屋敷内は広く、そうでなくともボスは多忙で部屋から出ることは最小限に留めている。
「失礼します、ハルです。」
「わざわざ呼び出してごめんね。」
「いえ、何か不届きな点がありましたか?」
「いや、‥‥ううん。今回は綱吉として話があるんだ。」
いい?と尋ねてくるツナさん。
ボンゴレでは公私混同を避ける為、普段はボスと幹部の関係を保っている。
就任以来この関係を続けているが、今回のような事は数えられる程に少ない。
疑問を覚えながらも、はいと応えた。
「あのさ、ハル。‥えっと、‥‥。」
「何かあったんですか?」
「‥‥」
「‥何か、あるんですね。」
「‥うん。‥‥なぁハル。俺を、信じてくれる?」
「当たり前です。ハルはツナさんを誰よりも信じています!」
即答したハルに、ツナさんは一瞬驚いて、そっかと穏やかに笑った。
「ツナさん?」
「聞いて、ハル。何があっても俺を信じて。俺は、死なないから。」
目をじっと合わせるツナさん。
当たり前でしょ?信じてますよ?死なない?当たり前ですよ?
ツナさんの言っている意味が分からなかった。だけど真剣な表情から、言葉ではない何かを伝えようとしているのが分かる。
‥‥それが何かは、この時はまだ分からなかった。
「‥分かりました。例えこの先、何があってもツナさんを信じます。」
「‥‥ありがと、ハル。」
「‥はい。」
ただ、悲しそうなツナさんの笑顔が気になった。
本当は聞きたかったけど、何故か聞いてはいけないような気がした。
ツナさん、と手を伸ばし抱き締める。
いつの間にか追い抜かれてしまった身長の所為で抱き付いているような格好だが、確かにツナさんを抱き締める。
これが2人に必要な気がした。
驚いていたツナさんは、ハルの好きな笑顔に戻り、ハルの背に腕を回して抱き締めてくれた。
「大丈夫、大丈夫だよ。」
「‥‥ハルは、信じてますから。ツナさんをずっと‥‥。」
ありがとう、とツナさんが囁くのが聞こえる。
ハルは訳も分からないが何だか泣きたくなって瞼を閉じた。
閉じた瞼の上に、何か柔かいものが触れたような気がして、余計に泣きたくなるのを我慢しなくちゃいけなくなった。
最後のディーレ
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綱吉がミルフィオーレに行く日の、綱吉とハルのおはなし
dire-言葉
あとがき。