novel

□ 波乱のリズム
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「あむちゃん、こっちだよ。」
「なぎひこ!」

カランコロンと音を鳴らして急ぎ足で来るあむちゃんは、浴衣に身を包んでいた。

「遅れてごめんね。」
「‥ううん、僕もさっき来たところだから。」
「ほんと?よかったぁ。」

いつもと違う大人っぽい雰囲気は、高く結った髪型からか、淡い紺に映える牡丹の花からか。
どちらにせよ、なぎひこはあむにうまく話し掛けることが出来なくなっていた。

「どうしたの?」
「う、ううん。何でもないよ。」
「?」
「(どうしよう、うまく話せない‥。)」

《そんなときは、クールなリズムを刻もうぜ!》

「え?」

《キャラチェンジ!》

リズムが話し掛けてきたと思えば、いきなりキャラチェンジをしてしまった。なぎひこの長い髪は高く括られ、その頭には深く帽子を被っていた。

「なぎひこ?どうしたの?」
「あむ‥‥。」
「へ?」
「あむは誰よりも綺麗だよ。その浴衣、よく似合ってるね。」
「え、な、なぎひこ?」
「あぁごめんね。浴衣じゃなくてあむが綺麗なんだから、素敵なのは当たり前だったね。」
「ちょ、なぎひこってば!」
「一緒にいられて、俺は幸せ者だな。」
「‥もう‥、恥ずかしいから、なぎひこ止めてって‥。」
「あむ‥‥。」

リズムとキャラチェンジしたなぎひこは、顔を赤く染めて恥ずかしがっているあむを引き寄せる。

「なぎひこ‥?」
「あむ‥、(ストーップ!!)」

あむとの距離が少なくなった時、やっとのことで出てきたなぎひこがリズムを追い出した。
帽子は無くなり、髪はばさりと下ろされる。

「はぁ、はぁ。」
「な、なぎひこ?」
「リズム!勝手に入れ替わるなよ!」
《ちゃんとレディをエスコートするのが男の見せ所だぜ。》
「う"‥。と、とにかくもう勝手に入れ替わるなよ。」
《OK。じゃあお邪魔にならないように向こうに行ってるぜ。》

はぁと溜め息を吐くなぎひこ。
あむはまだ現状が分かっておらず、おろおろとしていた。

「なぎひこ?」
「‥あぁ、ごめんねあむちゃん。リズムがキャラチェンジしてたんだ。」
「‥あ、そうなんだ。いつものなぎひこと違うからびっくりしたよ。」
「ごめんね。じゃあ夏祭り行こうか。」
「うん!」
「あ、そうだあむちゃん。」
「何?」

今日のあむちゃんも、すっごく可愛いよ。




波乱のリズム


(どうしよう、なぎひこ格好良すぎる‥。)
(あむちゃん可愛すぎだ‥。頑張ってエスコートしなきゃ。)

リズムは大切な何かを生み出していきました。







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