novel
□ 親友以上恋人未満
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((しゅごキャラ!パーティー!7話、おかえり!なでしこ!、より捏造))
「あむちゃん、お久しぶり。」
素早く着替えを済ませた僕は、あむちゃん達のいる舞台上へ向かった。
撫子の造花を軽く避け、笑顔を向ける。
りまちゃんは嘘、と驚きを零しているけど、あむちゃんはと言うと、黙ったままこちらを見ていた。
もしかして、可笑しな所があったのかな‥。
不安に駆られながらもあむちゃんを見つめ返していると、ぱぁっと花が咲いたような笑顔であむちゃんが叫んだ。
「――、なでしこぉ!」
そして、そのまま僕にぎゅっと抱き付いた。
え?
えぇっ?!
僕は顔には出さなかったけど、内心物凄く焦った。
なでしこの時はこれが当たり前だったけど、今は暫らくなぎひことして一緒にいた所為でどきっとしてしまう。
「なでしこぉ、会いたかったよぉ〜。」
「私もよ、あむちゃん。」
「何で連絡くれなかったの?」
「ごめんなさい、お稽古が忙しくって。」
「むー。‥でもまた会えて嬉しいっ!」
あむちゃんは再度僕に抱き付いた。すりすりと頬を寄せて甘えてくる。
‥‥なんですか。
何でこんなに可愛いんだよぉ!!
僕は胸の内で葛藤に耐えた。
「ね、なでしこ。今ひま?」
「え?‥えぇ、時間は空いているわよ。」
あむちゃんの問いかけで僕は我に返って、少し間を開けて返事をした。
僕の答えを聞いて、あむちゃんはきらきらと言うより、‥‥何だか熱っぽい視線で僕を見つめてきた。
「じゃ、じゃあさ‥、一緒に、出掛けない?‥‥その、2人で‥。」
‥‥‥むり。
‥‥ていうか、本当に無自覚?
可愛すぎるんだってあむちゃーん!!
僕は言葉も出ず、あむちゃんの熱い視線を受け止めるのに必死だった。
「なでしこ?‥‥やっぱり、むり?」
「いや全然大丈夫!‥いえ、大丈夫よ。一緒に出掛けましょう、あむちゃん。」
「ほんと?!嬉しいっ!」
ぎゅううっと抱き付いてくるあむちゃんは、さっきの僕の口調に気付いてないみたいだ。
ほっと安心するのも束の間、こんなに可愛いあむちゃんと2人で出掛けるなんて、‥僕は大丈夫なんだろうか、と心配になった。
「あむ。じゃあ私、先に帰るわね。」
「あ、りまごめんね。今度埋め合わせするから。」
「じゃあまたね、あむ。‥頑張ってね。な・で・し・こ・さん。」
りまちゃんは僕に冷たい視線を送ってから舞台を去っていった。
あむちゃんは不思議そうに、僕とりまちゃんを交互に見る。
「ねぇ、頑張ってって何の事かな?」
「さ、さぁ、何の事かしらね。」
「んー、まぁいいや!行こうっ!なでしこ!」
「‥えぇ。」
あむちゃんは僕から離れて、片手をするりと僕の手に絡ませた。
それも、俗に言う恋人繋ぎで。
‥‥僕、頑張れ。
2人きりのお出掛けは、まだ始まったばかりだ。
親友以上恋人未満
「なでしこぉ。あたしね、なでしこの事だぁいすき!」
「‥‥わ、私もよ、あむちゃん。」