novel

□ 赤の後で
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((アニプリ138話、リョーマvs切原!激闘を超えて、より捏造))




「切原さんっ!」
「んぁ?‥竜崎?」


コートの入口から走ってくるのは竜崎だった。
越前との試合が終わり、コートで1人ストレッチをしようとしていた俺に向かって竜崎が走ってくる。


「どうした?」
「大、丈夫、なんですか?」


走ってきた所為で息切れをしながら話す竜崎に、お前こそ大丈夫かよ、と言うのを我慢して答えた。
きっと怪我のことだろう。


「あぁ、大丈夫だぜ。見た目程酷かねぇし。」
「あの、怪我のこともそうなんですが、えっと‥。」
「ん?」
「‥もう、辛く、ないですか?」
「な、」


何でそんなこと知ってんだ、と言い掛けて止めた。
軽く深呼吸する。
すると、俺が続きを言う前に竜崎が話しだした。


「ご、ごめんなさい!さっきボールを運んでいる時に見ちゃって、声を掛けようとしたらリョーマ君が来たから、それで‥。」
「‥‥」


深呼吸が溜め息に見えたのだろうか。凄く申し訳なさそうな顔で謝ってきた。
‥まぁ、見られたくなかったし謝られて変な訳じゃないんだけど。


「‥‥あの、‥。」
「何。」
「‥、‥‥。」


言えなさそうに困惑する姿は見ていて苛々する。腫れ物に触るような態度は鬱陶しい。
俺は何もねーなら行けよ、と言おうと口を開いた。
しかしすぐに竜崎の言葉で遮られる。


「あのっ!」
「‥‥何。」
「‥わ、私で良かったら相談に乗りますから‥!」
「‥‥‥は?」
「あの、テニスのことなら私よりも皆さんの方が詳しいですが、それでも愚痴とかなら聞きますから‥。」
「‥‥はぁ。」
「‥だから、元気、出してください‥。」


‥‥つまり、竜崎はそれを言う為に走ってきて困惑していたと。
別に、さっきの試合で殆ど気は晴れたし、辛くなんてねぇけど‥。


「心配、してくれたんだよな‥。」
「はい?」
「いや、何でもねぇ。」
「‥はい‥。」
「あー、そのさ、えっとサンキュな。」
「切、原さん?」
「もう大丈夫、ってかそんなヤワじゃねーよ。」
「そう、ですか‥。‥よかった。」
「あ、でも内緒だかんな!誰にも言うなよ?」
「ふふ、はい。分かりました。」


あ、笑った。
竜崎の笑う顔を、俺は初めて見た気がする。
地味な子かと思ってたけど、こんな風に笑うんだ。


「切原さん。」
「‥ん、何?」
「私、切原さんが楽しそうにテニスしてる姿好きです。」
「‥‥あ、あぁ、あんがと。」
「はいっ!」


‥なにこれ。
普段格好良いとか言われ慣れてる筈なのに。何だ、これ。
やっぱ試合の疲れが残ってんのかな、と考えて、俺はストレッチを再開することにした。





の後で

(じゃあ私、残りの仕事してきますね。)
(あぁ、頑張ってな。)
(はい、ありがとうございます。)







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