布団2
□君に不器用な愛の形を
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自己分析をする限り、俺の独占欲は中の上、抱央力は下の中で、つまりは浮気を許せなくて、それなりに恋人を束縛したい、ごく普通の男である。
「おい、またつけてねえじゃん、指輪」
ずっと一緒にいたくて、目に見える繋がりが欲しくて、ペアリングを渡したことが、いけなかったのかもしれない。
「…これから夕飯作るのよ」
外されているのを見るのが恐くて、常に身につけていることを強要し、何があっても外させなかった。
「いいから、つけてろよ」
その、たった数グラムの指輪が彼女には重荷だったらしく、指輪の話になるたびに、俺達の間には険悪な雰囲気が漂った。
まさに、今この時ように。
「…ティキ」
ことり、と小さな音がした後、彼女は俺の手を取り、ペアリングの片割れを外した。
「さよなら」
今度は、大きな音をたてて玄関の扉が閉まる。
君に不器用な愛の形を
外した指輪を填めなおしても、時間はもとに戻らなかった。