布団2

□君の後ろ姿がすき
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「坂本さん」



ん、と振り返ったあなたは、いつもよりとても素敵に見えた。
これできっと最後だから、脳が無意識に美化しているのかもしれない。



誰だって、最後の最後くらい美しく飾りたいものね。



「何じゃ」



言いたいことが、ある訳じゃない。
でも、何も言いたくない訳でもない。



「………」



確かに、言わなければならないことが喉のそこまででかかっているのに、何と言葉にすればいいのか、自分でわからないのだ。



愛する人と、もう2度と出会えない。



こんな時、映画やドラマではぴったりな台詞がたくさんあるのに、テレビ大好きな私には1つも思い浮かばなかった。
どれも、しっくりこない。



さよなら、またね、また会いましょう?
ずっと愛しているよ?



違う。
こんなこと、彼に言ったって笑われるだけ。



「あのね」



君の後ろ姿がすき



男らしくて、たくましくて、そんな背中が見れなくなるのは残念だわ。



あっはっは。
なんじゃ、そら。



…さよなら、またね。




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