布団2
□君の歩幅が狭くなった
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坂本さんと私は、ぼんやりとした関係だ。
1度も、「好き」とも何とも言われたことがないし、手を繋いだこともない。
始まりだって、私から告白をして、なんとか付き合ってもらっているようなものだった。
だから、毎日不安だった。
(本当は、私のことを傷付けまいとして、断れなかっただけなんじゃないのか)
そんな疑問を胸に抱いて、今日も彼との帰路につく。
「………」
坂本さんの歩幅にあわせて歩くのが、私の中での決まりだった。
早く帰ろうとでも言おうものなら、1人で帰れと返されそうで怖かった。
「今日も、遅うなってしもうたな」
初めて気付いた。
そういえば、坂本さんと一緒に帰るようになってから、自宅につく時間が少しずつ遅くなってきている。
月日を重ねるごとに、ゆっくりと、確実に。
「何ででしょうね」
それだけじゃない。
告白して間もない頃は、こうして並んで帰ること事態がありえなかった。
私より背が高いあなたとの距離は、歩く度に離れていってしまっていたのだ。
それが、どうして。
「…何でかの」
そう呟いたあなたは、優しく私の頭を撫でてくれた。
君の歩幅が狭くなった
それは、照れ屋な君からの、精一杯のアイラブユー。