布団2
□指した先は、ブーケ
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幼なじみの結婚式に呼ばれ、そこで、純白のドレスを着た彼女の姿を見て、驚いた。
最後に見たのは、いつだったか。
あの頃より、幾倍も美しく、女らしくなっている。
「あ…」
ブーケが高く舞い上がり、花びらを散らして、知らない女の子の手の中へ落ちた。
「いいなー」
歓喜にわく女の子を見ながらそう言うと、隣にいる彼は、いぶかしげにこちらを一瞥した。
「何がじゃ」
「ブーケ、私も欲しかった」
結婚は人生の墓場だ、と言った人がいるけど、あんなに可愛くなれるのなら、それも捨てたもんじゃない。
「ふーん」
彼は、花嫁を見たままだった。
そっか、興味ないよね。
壮大な夢を持つ彼の傍らにいるには、私じゃ役不足だから、少しは一緒にいられても、一生は無理なんだ。
そう言い聞かせて、私も視線を花嫁に戻す。
「…あれ、欲しいがか?」
「え?」
指した先は、ブーケ
わかるよね、この意味。
(誰よりも幸せにするから、結婚してください)