布団2

□夢と彼は知っている
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音がした訳でもない。
空腹な訳でもない。



ただ、何かの拍子に目が覚めた。



出来るだけ、掛布団が擦れないようにして、机に置いてあった携帯を取る。



(…7時24分)



2人共、今日は休みだから構わないが、彼にしては珍しく、起きるのが遅い。
いつもなら、朝食を作れとせがむ時間なのに。



昨夜は残業だったにしても、これはおかしい。



心配になり、隣のベッドで眠る彼の方を振り向くと、ぎょっとした。



あの仲達が、涙を流している。



自分の感情を隠すのが上手くて、私にも、なかなか本心をみせてくれない彼が、今、目の前で泣いている。



体調が悪いのかと思い、しばらく観察してみても、動き出す気配はない。
どうやら、本当に眠っているらしかった。



その顔は、穏やかな寝顔そのものだが、涙だけが、異様だった。



「………」



わずかに眉間に皺が寄り、ゆっくりと瞼が開かれる。



「おはよう」



彼は、まだはっきりしていない目で私を捉えると、どこか安心したような表情になった。



「…ああ」
「ティッシュ、いる?」



何の気なしにそう言うと、彼は飛び起きて、右手で頬をなぞり、私を見た。
そして、見る見る内に顔を真っ赤にして、脱兎のごとく洗面所へ向かった。



夢と彼は知っている



どんな夢を見たの?
う、うるさい、馬鹿めが!



(君が死んだ夢って言ったら、どうする?)




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