布団2

□ねえ、聞こえてる?
1ページ/1ページ


好きだ、大好きだ。
むくれた顔も、泣いた顔も、笑った顔も、全部(でも敢えて言うのなら、同じように泣くのであれば嬉し泣きの方がいい)。



お前の全てが好きだ。
他所見をして飯をこぼす間抜けなところも、花を愛でるところも、私が怪我をして帰ってくると包帯を巻いてくれるところも、全部(でも敢えて言うのなら、義や愛の話を聞き流すところは直してほしい)(が、そんなところも好きだったりする)。



そう言えば、今まで随分と長い間共に過ごしてきた気がしていたが、お前の白無垢姿とか、それを見て嬉し悔しの涙を流す幸村達の顔とかは、まだ見たことがなかったな。
見てみたいとは思わないか、日の本一の武士が咽び泣く様を。



三成、そう、三成はそれを眉根を寄せて睨みつけているのだ。



そうだろう、見たいだろう。
私も見たいよ。



だから、なあ。



ねえ、聞こえてる?



止まってくれよ、この紅。
(どんなに理想を語ったところで、お前がいなければ意味がないのだよ)




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ