布団
□ごめんなさい
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初めから、わかってはいたの。
いつか言わなきゃいけないって。
でも、でもね。
責められるのが嫌だとか、自分に非があるからこそ言い出しづらいとか、竜崎に嫌われたくないとか。
そんな無意味な抵抗で、今まであなたに言わなかったのは、やっぱり私が、このままバレなければいいかなって心のどこかで甘ったれてたせいだと思うの。
だって、竜崎が怒るのは目に見えていたから。
独占欲が強いあなたはきっと、浮気した私を許してくれないでしょ?
もしかしたら、2人とも殺しちゃうかもしれないわね。
私、怖かった。
毎日毎日。
あなたに嫌われることが。
あなたを傷つけることが。
すごく、怖かった。
だから今、その恐怖心をほんの少しの勇気に変えて、去っていく猫背に向かってそっと呟くわ。
ごめんなさい
せめてもの罪滅ぼしに、寂しかったなんて死んでも言わないから。