布団

□保健室にて愛を囁く
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保健室って、何故だかいやらしい響き。
教師と生徒の禁断の恋とか、教師生徒同士の情事とか、いけないイメージばかりがつきまとう。



今だってそうだ。



ティキ先生が椅子に座り直す度に、身構えてしまう自分がいる。



「早く授業行けよ」



ふーっと紫煙を吐きながら言う先生。
制服にほんのりと染みついた臭いは、確かに先生の匂いだ。



「煙草吸うの止めたらいいよ」
「そりゃ残念。お前、一生授業出れねえわ」
「ていうか、普通保健室で煙草吸う?学校敷地内って禁煙でしょ?」
「あー、そんな決まりもあったっけな」



彼はけたけた笑って、眼鏡の奥で綺麗な弧を描いている。
そんな素敵な笑顔、どこで習ったの?って聞きたくなるくらいだ。



「あのね、先生」



その瞬間だけ、保健室にどうして変なイメージがあるのかわかるような気がした。



「私、卒業できなくていいかも」



保健室にて愛を囁く



先生の煙草が、ぽとりと床に落ちた。




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