布団3
□物思い
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縁側で、頬杖をついて黄昏。
はたから見れば、ただの暇を持て余す惚け者であるが、ともすれば、かの弥勒菩薩を彷彿させる深遠なる雰囲気を醸し出しているようにも見える。
彼は今、悩んでいた。
自らの気持ちを言葉に出来ないもどかしさと、それについて悩むことが、立場上有るまじき行為なのではないかと悩んでいた。
「…ふう」
もう何度目かも分からない溜め息を吐き、自嘲気味に笑う。
(景勝様に、お尋ね申し上げよう…)
長年連れ添ってきた主人である。
何か良い知恵を貸してくれるかも知れない。
兼続は、ひとつ溜め息を吐き、腰を上げた。
物思い
(寝ても覚めても)
(浮かぶは、君)