布団3

□精神安定剤キミ
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「ぼと!」と音を立てて何かが落ちた。



何か、なにか、ナニか、何だ?



足元を見ても後ろを振り返っても、ただアスファルトが続いているだけで何も落ちてはいない。
強いて言うなら、ごみくずや石ころや電信柱(は立っている、か)が静かに置かれているくらい。



(ふむ)



気を取り直して前を向く。
息を吸った。



おや、夕焼けが滲んでいる。



(…悲しいことなんかあったっけな)



思い当たる節と言えば、そろそろ月のものが来るところか。
ああもう憂鬱だな。
また腹痛に悩まされるでしょう週間が始まるのか。



あ、これだ。
きっとそうでしょ、この空虚感はこれのせいに違いない。



「と言う訳で来ました」
「どういう訳です」



苛立ちを隠さないまま(隠す気もないのだろうが)、トクサが膝を人差し指で忙しなく叩きながら言った。
つくづく彼にはカルシウムが足りないのではないかと思う。
全くいらいらしたいのは私のほうですよ。



「つまりね」



精神安定剤キミ



(うふふ、好き!)
(…、答えになっていませんが)
(どういたしまして!)
(褒めてもいません)



あなたといれば、空いた心も満たされる。




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