布団3

□アイ、してる
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世話焼きを超えて図々しい、悪意を疑う無知加減、すぐ甘ったれる、酒癖が悪い、極めつけで女の武器を最大限に利用するところ。
私が嫌う女性像を見事完璧に再現してくれているにも関わらず何故か憎めない、そんな彼女。



理解できない、私も彼女も。
フィーリングの問題ではなく、それ以前に何かある気がする。



顔を合わせる度に噛み付いてくるし、あからさまに嫌そうな表情を見せる。
そんな女と(失礼、女性と)分かり合える訳がないのだ。



気に入らない、何もかも。



「どうしたの、そんなに怖い顔をして…」
「一度しか言わないので、よく聞いておきなさい」



本当に、気に入らない。



「金輪際、私の傍にいると誓いなさい」
「…、それって」
「貴女の世話役を私が請け負ってやる、それだけです。まったく一々言わなければ理解できませんか、これだから教養のない方は」



何故か自然と口数が多くなることも。
熱い顔も激しい動悸も、あれもこれも全て貴女のせいだ。



ああ、認めたくない。



アイ、してる



(すぐ泣く、ほら、貸してあげますから)
(ううう、…ちーん!)
(わああ!鼻水は駄目です、鼻水は!)



そんな君も(どんな君も)アイしてる。




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