CP小説E

□知らない香り
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※基本設定とは違います。若干閲覧注意‥?



「ただいま、」

「……おかえり」

「わっ、リン?あれ、何だ起きてたんだ。電気もつけずどうしたの」

「…ちょっと寝れなくて」

「ふーん、喉渇いちゃった。冷蔵庫なんかある?」


彼の問いかけにこくりと頷けば彼はそう、とだけ呟き私の横を通った。
その時にふわりと香ってきた知らない香水の匂いに心臓がつかまれたようにぎゅっと縮まった。


「……どこ行ってたの?」

「…ちょっとね」

「ちょっとじゃわかんないよ」

「…珍しいね、そういうとこ尋ねてくるなんて」


にっこり、そんな笑顔を貼り付けながら彼は私を見ると冷蔵庫から出したばかりの水を喉へ通した。


「………」

「どうしたのリン?」

「っ!」


自分の服を握り下を俯いていれば、ミクオが私の名前を呼びながら、上目遣いをするように下から顔を覗かせる。
その鼻にかかったような呼び方に私はびくりと肩を揺らす。


「……また、女の人のところにいって、たの……?」

「うん」

「………」

「リン?どうしたのさ。いつものリンと違くない?」


面倒くさい、とでも言うような言葉の話し方。この話し方になるときは別れ話をするときということを知ってる私は自分の意思とは無関係にかたかたと震えだした。


「……リン?」

「……っ、」

「震えてんの?」

「!」


きゅっと抱きしめられる感触に冷えた頭が次第に温められていく。ミクオの体温が伝わってきて、ゆっくりと目を瞑った。

……しかし、ミクオからまたあの香水の匂いが漂ってきてミクオの体を押し返すようにして離れた。


「リン?」

「……っ、やだ!
他の女の人を触った手で私に触らないで!」

「………」

「やだ、よ……ミクオがいろんな女の人と一緒にいるの見るなんて…」

「……なにそれ、今更じゃん」


嘲笑うようにミクオは言うと違うところを見ながらため息をついた。
ぎゅう、と手を握り締めながら私はいまだ暗い部屋でミクオを見つめる。

毎日毎日知らない香水の匂いを漂わせるミクオも、毎日遅くまで帰ってくるミクオも、情事後特有の気だるさを纏っているミクオも……本当はずっとイヤだった。

でも、そんな事を言って嫌われるのはもっとイヤだったからずっと我慢していた。


「……ミクオは、どうしてそんなことするの?」

「え?」

「そうやって毎日、違う女の人の所に行って……何がしたいの?」

「……自分の欲求を満たすため?」

「……じゃあ、どうして特定の人を見つけないの?どうしていつも違う女の人なの?」

「今日はどうしたわけ?いやに質問詰めだね」


言いながらミクオはごくりとペットボトルに入っている水を飲み干した。
舌をちらっと覗かせ端の水滴を舐め取るとミクオは私をちらりと見た。

その目はどこか艶かしくてまたびくりと肩を揺らす。


「……心配しなくても俺はリンが好きだよ」

「………」

「あいしてる」


ミクオは私を抱き寄せると耳元でそう呟いた。最後にふっと息を吹きかけられ、ぞくぞくと私の背が震える。


誰にでも呟くのであろうその言葉にも本気で嬉しくなり、ミクオの背に遠慮がちに手を回して目を閉じた。



(今だけは私の匂いに染まって…)






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初クオリンです!
基本設定の二人とは違う少しだけ大人な感じ。



101025


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