CP小説B

□擦り傷
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「お妙すわぁああんっ!!!」

「近寄んなゴリラぁぁああ!!」

「あぶしっ!」


いつものように飛びつこうとしてきたゴリラの顔面を殴った。するとその人はべしゃ、とまるで車に轢かれたカエルのように地面へと突っ伏した。


「痛たたた…」

「………」


しかし数秒後、むくりと起き上がると赤くなった鼻をさすりながら涙目で笑っていた。


「アッハッハッハ、お妙さんは恥ずかしがりですねぇ!」

「なに勘違いしてるんです?恥ずかしがってこういうことしてるんじゃないんですけど」


にっこりと笑みながら言っても目の前の人物は気にしていないようで、「アッハッハ」と笑っている。
いつもならウザくてウザくてしょうがないのに今日は違った。なぜなら彼の腕には傷がたくさん出来ていたから…。



「…近藤さんその傷……、」

「えっ?…ああ、これは……昼間ちょっとありまして」

「……攘夷の人達とですか?」

「……ええ、まあ…」


さっきみたいな豪快な笑いとは違って彼は苦笑いしながら自身の頭を掻いた。
こんな時、彼は命を懸けて仕事をしているのだと思い知らされる。普段の彼はとんでもなく頭が悪くてバカでストーカーでしょうもないけどいざとなればあの真選組の大将の顔となり、頼りがいのある男となるのだ。



ちょっと待ってて下さい、と声を掛けると私はそのまま休憩室へと戻った。
そしてあるものを持って帰ってくる。



「あ、あのお妙さん…?」

「腕…出してくださいな。」

「えっ…?」

「男所帯はこれだからいけないんです。真選組には医者というものはいないんですか?
こんな怪我の手当ての仕方じゃ逆に悪くなりますよ」



言いながら強引に腕を引っ張り救急箱の中から薬を取り出すと丁寧に手当てをしていった。
されるがままの近藤さんは「すいません…」と小さく声を漏らした。



「…はい、これでいいですよ」

「ありがとうございます…。本当お妙さんには迷惑かけっぱなしで…」


「…本当ですね」


「いやはや、申し訳ないです」



「…申し訳ないと思うのでしたらもう怪我をしないで下さい」




「・・・え?」





「そう思うのだったらもう怪我をしないで下さい。心配させないで下さい」


「お、お妙さん…?」



いつのまにかあふれ出してくる涙に自分でも驚いた。そんな私に近藤さんは困惑しながらどうしようか、と焦っている。



「…っ、すみません……。仕事中なのに私……」


「いっ、いえ!
俺のためになんぞ泣かないで下さい。お妙さんの涙が勿体無いです!!」

「・・・」


「こんな仕事柄ですから…怪我をしない、ということはお約束できないのですが……お妙さんがそう仰るのでしたらなるべくしないように頑張りますよ!!」



歯を見せながらにっかりと笑う彼に私は思わず笑みがこぼれた。








***
あ、あれ…?予定ではギャグで終わるはずだったんですがシリアス風味で終わってしまった…←
最終的に怪我をさせてるのはお妙さんだったりします←


090504


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