CP小説C

□尾行
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「では、お登勢さまお買い物に行ってまいります」


入り口で声を掛けて礼儀正しくお辞儀をして出て行く彼女。そんな彼女の後を俺は気付かれないようにひっそりと着いていった(今の俺には「こそこそ」という擬音語がついてるんだろうな…)


行く先々で彼女は「いつもご苦労さん」などと声を掛けられていて、相当この街に馴染んできているんだろうと思う。その後も彼女の行く先をついていけば彼女は公園へと向かっていた。

あっ、別に俺ストーカーとかじゃないからね!?局長と一緒にしないでね?
ただ俺は彼女が心配なだけだから!!


彼女が向かっていく先には子供たちが集まっていた。何事かと俺も近づいてみれば一人の男の子の車のおもちゃが壊れて泣いているらしい…。


「ひっ、く…パパにせっか、く買ってもらっ…のに、」

「大丈夫です、そんなに泣かないで下さい」

「うっ、ぐす…ひ」

「私が直します、ちょっと待っててくださいね」


そういうとたまさんはどこからか工具を取り出してきぱきと修復作業を始めていた。さすがは同じからくり同士ともあり、それはあっという間に直った。


「どうぞ」

「わっ!ありがとうおねーちゃん!」

「いえ、これからも大切にしてください」

「うん!じゃあねー!」


男の子は直ったばかりのおもちゃを抱えると笑顔でその場から去っていった。その周りにいた子たちも男の子に続くように走って行ってしまい残ったのは必然的に俺とたまさんだけになった……。


「っあ…!」

「あれ、あなたは……ちんぴら警察のジミーさん」

「へっ…?いや、俺は山崎退ってい」

「わかっています。銀時さまたちの真似をしてみただけです。

山崎退さまですよね」


にこりと笑む彼女に俺はかあ、と顔を赤く染め上げた。


「…大丈夫ですか?心拍脈数ともに上昇していますが」

「ぅえ…?あ、いや…だだだ大丈夫です!」

「ですが体温もどんどん上昇しています。呂律も回っていないようですが」

「いや、ほっ本当に大丈夫ですから!」


心配そうに眉を寄せ近づいてくる彼女にぶんぶんと両手を振る。


「…そうですか?

そういえば山崎様、私に何か御用でしょうか?」

「えっ?」

「先ほどから山崎様の気配を感知していたものですから」

「えぇえええ!?」


ううう、うそっ!もしかして尾行してたのバレてた!?うわ、監察としてあるまじきことじゃん!!


「何かあるのでしたら遠慮なく私に申してください。山崎様のお役に立てるなら私はなんでもします」


純粋な目を見て俺は何だか自己嫌悪に陥った…。そんな俺を見て「山崎さま…?」と首を傾げるたまさんにいい名案が思いついた。


「あ、あの…、実は屯所の冷蔵庫が壊れちゃってたまさんに直してもらえたらなあ、なんて」

「わかりました」


俺のふとした思い付きにたまさんは何も疑うことなく了解してくれた。
(てか俺、よく思いついたよ!)

そして屯所までの道のり、俺はたまさんと二人並んで歩いた。





(尾行なんてするんじゃなかった……、もっともっとキミを好きになった)






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初の山たま!山たまというより山→たまですね…。
にしても難しいっ><たまの口調がよく分かりません…。



090920


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