12/03の日記
17:18
好きなものを好きと言えなくて…
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姫は、俺と顔を会わさなくなった。
結婚相手が居たから。
しかもヒョロリとした、姫が一番嫌いそうなタイプ。
俺は決してがっしりとはしてなかったけれど、身体にそこそこの自信はあった。
ある日姫は、結婚相手と何処かに消えた。
夕食のすぐ後。
俺はトレーニングの為に散歩をしていた。
途中で、姫と結婚相手を見つけてしまった。
そのまま素通りすれば良かったのに…俺は二人を見ていた。
二人は何か話し込んでいた。
俺の方までは聞こえてこない。
すると、今までおとなしくしていた結婚相手は、急に立ち上がり、姫の首を掴んだ。
俺は居ても立ってもいられなくなり、走った。
姫を助ける為に
俺は姫の首を掴んでいる結婚相手の首を掴んで、顔を殴った。
結婚相手は勢い良く吹っ飛び、姫は恐怖と混乱で顔が引きつっていた。
結婚相手はそのまま気絶したようでのびていた。
俺はすぐに姫に駆け寄った。
「姫!お怪我は…」
パチンッ!
姫の張り手が決まった。
俺は少し赤くなっている頬なんて無視して姫を見つめた。
「私の結婚相手に手を出すとは何事か!」
姫は俺を叱っていた…
こんな姫は見たことがなかった。
「結婚相手とはいえ、姫の首を掴んでいたので…」
言い訳にしかなっていない俺の言葉は、姫の耳には届いていないようで……
「例え首を掴まれ殺されても……男に逆らってはならぬ」
俺には姫が泣いているように見えて仕方なかった…
恐怖に染まった姫の顔は…
俺の心を締め付けて…
逃がしてはくれなかった…
「俺は姫を守るために居るのです…例え結婚相手であろうと…姫に手を出すのであれば…俺はそいつを殺します。」
俺の言葉を聞いた後、姫は目が潤んでいた。
「騎士…怖かったよぉ…」
…無理もない。
この方は…姫は…まだ11歳なのだから…
3の時に王位に即位し…
8年国を守り続けてきた…
まだ小さな女の子だというのに……
俺が姫と出会ってから…
三度目の冬がやってきていた…
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