Novel 1
□口受
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始めはただの好奇心だった。
唇の端っこにほんの少し付いたエクレアのクリームを丁寧に人差し指で拭い、
そのクリームを小さく舌を出して舐めとった大石を見た途端・・。
ちょっとしたイタズラ心が俺の中に湧きあがった。
その口の中に触れてみたい。 ・・・犯してみたい。
「大石・・口開けて」
ベッドに座っている俺の開いた脚の間に傍で寛いでいた大石の躰を引き寄せる。
「何?英二・・課題はしないのか?」
「ちょこっと休憩。いいから、口開けてって」
休憩も何も、まだ取り掛かってもいないだろう・・。
自室で、紅茶を飲んでお菓子を食べただけだ。
突然何を思い付いたんだか・・。
小さくため息をつくと膝で立ち、英二を見上げる格好で言われるまま口を開く。
大石の細い顎のラインを何度も撫でると、左の手で大石の顎をしっかり支えて、
右の人指し指で半開きの唇の中に静かに滑り込ませる。
形のよく並んだきれいな歯をなぞり、口頬の粘膜をそっと指の腹で撫ぜる感覚が心地よいのか、
いつのまにか大石は静かに目を閉じている。
あ、やっぱりヤバイかも・・。
伏せられたまぶたの上に口づけると、びくっと唇が奮え、
驚いたように目を開いて英二を見る。
にかっと笑って大石の口腔から指を引き抜くと、そっとついばむような
柔らかいキスをする。
「課題終わらせないと」
いい加減気も済んだだろう?と言いたげな大石の目は少し潤んでいて、
眉間にしわを寄せ軽く睨んでいても俺には何の効果も無い。
それどころか・・。
俺の躰を押し退けようとする手を掴み、耳元で囁く。
「ねぇ・・大石。・・・して」