Novel 1

□模索
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 こんな扱いをされる覚えは無い。
一体、自分が何をしたというのか。
英二の不機嫌さの理由は、何なのか。
暴行にも似たこの行為の意味は、どこにあるのか。



『力抜けって・・大石が痛いだけだよ』
『や、め・・!』
強張った躰に無理に押し入ってくる英二を押し退けようと身を捻ろうとするが、
組み敷かれた状態ではかなわない。
太腿を抱えられ、英二の身体の重みで更に奥へと押し入ってきた。

『っ・・う・・』
『声、我慢するなよ・・』
衝きたてられ、揺さ振られても何の快感もない。あるのは酷い痛みだけ。
『い・・嫌だ。い・・や、英二・・っ・嫌だっ・・』
ぱんっと乾いた音が頬で弾けた。
痛みよりも、いきなり頬を叩かれたことに抗議しようと顔を上げた途端、
英二の手のひらが強く唇に押し付けられ、口を塞がれる。
『うるさいよ』
低く、冷たい声音に一瞬血の気が引く。身が竦み、背筋を冷たい汗が伝う。
・・どうして?
視線が交わらない。心も繋がらない。 ・・言葉が、出てこない。
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