Novel 1

□因依
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熱発と頭痛、それから全身の疼痛で学校は2日休んだ。
部活にいたっては1週間の見学を余儀なくされた。
ゴーカンまがいの初体験から1ヶ月、大石はそれでも俺を許して、
必死になって受け入れようとする。



いつものようにコートでは手を繋ぎ、じゃれあうようにふざけて抱き合う。
なのに、ふと我に返って互いを見つめ合い、そっと躰を離す。
不自然な沈黙と気まずさに耐えられなくなり、ぎこちない笑みを
大石は浮かべる。
どうしていいのかわからない、というような泣きそうな笑い方。



焦がれるような想いが二人を近付けた。
触れたい、触れることをこらえられない。
全身で大石を抱きしめたい。
愛されたい。それはお互いに触れたい、感じたいと願う心。




「抱きたい」



『2度目』の日が唐突に訪れた。



・・強い雨の音が聞こえる。
薄闇の中、窓ガラスをたたきつける雨のしぶきしか見えない。
ただ水槽内に点された明かりだけがぼんやりと室内の様子を、
ふたりを浮かび上がらせる。
同じ石鹸の香りを纏いながらベッドに躰を沈めて大石の躰を柔らかく弄る。
「余裕なかったし」
「何・・?」
「最初・・さ。頭んなか真っ白で、ほとんど覚えてナイ」
組み敷いて押え付けて、慣らすことも感じることも出来ないまま
無理矢理に大石に受け入れさせた。
大石には痛い思いだけさせるし、我ながらホント余裕なかったな・・。
「全身筋肉痛にはなりたくないよ」
「解ってる・・」

ついばむようなキスをして耳朶から首筋に唇を押し当てる。
大石はくすぐったそうに身を捩り、その度に口を微かに開く。
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