Novel 1

□託意
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テスト週間が始まった。よって今週末まで部活は休みだ。
6組で向かい合って昼食の弁当を食べる悪友が大げさにため息を付いた。


「大石を追い詰めたら駄目だよって・・あれだけいったのに」
「不二まで俺を責めるのかよ」
「何言ってるの・・。大石は?」
「ん〜・・今週は一度も顔見てない」
というか怖ろしくて会えない。
・・きっと傷ついて、そして怒ってるだろうから。
「英二」
呆れた、とでも言いたげな不二を無視して牛乳パックのストローを咥える。



『い・・嫌だ。い・・や、英二・・っ・嫌だっ・・』
言葉だけじゃなく全身で大石に拒絶されて。
あんなに激しく拒まれることは一度も無かった。
拒まれる苦しさに半ば怒り狂ったようにその身体を犯して。



あれから、一度も大石の顔を見てない。
大石も6組には来ない。
・・・大石は眠れたんだろうか。


「手塚絡みで大石が冷静さを失うことも毎度のことだし」
「・・解ってるよ」
頭では理解している。ただ感情がついていかない。
当たり前のように大石に背負わせる手塚も、
当然のように受け入れる大石も。

その確かな強い繋がりに何度嫉妬したことか。
錯乱したかのように『手塚』のことで奔走する大石。
自分の怪我も俺の心配も無視して。



「で、2組に行こうか」
「へ?」
「大石に会いにいこう。
テスト範囲で聞きたいコトあるし」
「行かない」
拒まれる、という不安に身がすくむ。
机に突っ伏し、動きたくない・・と机にしがみつく。
が、こういうとき不二は本当に容赦がない。

むんずと襟をつかまれ、引きずられるように教室を後にする。
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