幻想入り〜贋作する程度の能力〜

□厄神様と通る道
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「〜
なんとなく、
雛は鼻歌を歌いながら
人里の近くの上空を
飛んでいた。

本当なら人里の
お店を回ったりして
色々見てみたいのだが、
自分が近付き過ぎると
人里に迷惑がかかる。

少し寂しいと思ったが
もうずっとそうなのだ。

「…?何か厄い…」
ぴくりと反応し
人里を振り向く。

すると、

「火事だーーーー

少し先の所で
火の手が上がっていた。







火事は最初はそこまで
大きく無かったが、
今日に限って空気が
乾燥し風が強かった為
瞬く間に大きくなった。

「もっと水持ってこい
こんなんじゃ
間に合わねぇ
里の人々が次々と
桶で水をかけるが
火が強すぎて
あまり効果は無い。

「……………………」
そんな様子を
上空から見つめる。

「…厄が濃過ぎる…
これじゃ幾らしても
無意味だわ…」
呟き少し考える。

そうこうしている内にも
どんどん炎が
大きくなっていく。

「…悩んでいる暇は
なさそうね。」
決意し炎の前に
ゆっくりと降り立つ。

「なっあんたは…

「何でこんな時に
厄神が来るんだよ

雛に気付いた瞬間
揃って罵倒し始める。

「……………」
里の人々の言葉は
無視してその場で
クルクル回る。

この辺り一帯の厄を集め
少しでも火の
勢いを弱める。

消せないとしても
誰か消せる人が
来るまでの時間位は
稼ぐ事が出来る。

…だが、

「(…少し…きつい…)」
ただでさえ炎の目の前
だから熱さで体力が
削られていく上に
かなりの厄の量。

「(…集めきれる
かしら…?)」
回り厄を集めながら
少し弱気になる。

流石にもう限界が近い。
元々体力は無い方なので
軽く貧血を
起こしながらも
回り続ける。

「(…あら…やば…
もう限界かも…)」
軽く目の前が霞み
ふらりとよろける。

だが、次の瞬間。


「流水『WaterStream』」


そらから降ってきた
大量の水で一気に
火が鎮火した。
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