MELTYBLOODーCollapseOrder Night ON THE MADERS-

□ACT1.紅い髪
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ACT1.紅い髪

おかしな夏だった。

交通量一時間辺り
平均5台程度−

鉄道機関利用者
1日辺り100人前後−

気温摂氏38℃−

本当におかしな
夏だった。

誰もいない訳でもない。

ただ表に人影は無く、

無人のプラットホームを
人を乗せた電車だけが
通り過ぎる。

反面目を凝らせば
廃墟の様なのは
外だけで誰もが
建物の中。

それは暑さの
所為ではなく
或る一つの"噂"に
よるモノ。

…そう、一つの噂−

曰く、殺人鬼は
死神のような
吸血鬼だった。

曰く、猟奇殺人の
被害者は残らず
血を抜かれていた。

曰く、あの殺人鬼が
戻って来た。

「…終わった筈だろ。
あの事件は…」

思わずそう呟く。

そう、あの事件は
一年前に終わり
忘れ去られたはず。

なのに噂に歯止めが
きかない。

街中で囁かれる
犠牲者は増え続け
今じゃ誰も夜は
出歩かない。

…しかし、
何よりおかしな事は…

「…街では猟奇殺人など
起こっていない…
という事だな…」

暑さの所為だろうか、
少し目眩がしたので
近くの日陰で
一休みする。

しかし、この街は
おかし過ぎる。

ただの噂だというのに
皆左右され過ぎている。

そしてこの街の
空気はまるで死んだ様に
止まって淀んでいる。

「…はぁ…」

溜息をつくと
ゆっくりと立ち上がり
歩きだす。

何処だか特に
行く宛は無いが、
せめて何かをする為に。
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