MELTYBLOODーCollapseOrder Night ON THE MADERS-

□ACT2.殺人貴
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ACT2.殺人貴

「……………………」

何やら今日は
よく人に出会う日だ。

少年は自分と同い年位の
眼鏡をかけて
学ランを着た高校生、
少女は紫色の髪の毛に
ミニスカートを着ている。

しかし、倒れている
少女に向かって
"秋葉"と名前を
呼んだ事から
恐らくこの少女の
知り合いなのだろう。

…今度は話が
出来ればいいのだが。

「…あ〜、この娘
君の知り合…」

「…お前…秋葉に
何しやがったーー

話し掛けようとした
次の瞬間、
少年がものすごい形相で
突っ込んできた。

「ちょっ…
聞けよ

思い切り振るわれた手を
咄嗟に後ろに
下がって避ける。

少年の手を見ると、
銀色に光るナイフが
握られていた。

「…こいつ…」

ぼそりと呟くと同時に
"右目"に違和感が走る。

…間違いない。
こいつも"異形"だ。

「はぁぁぁぁぁっ

そう考えている内に
突っ込んできた少年が
高速での連続突きを
繰り出してくる。

「ちっ…

急いで思考を中断し
高速の突きを全て払う。

しかし、この少年は
不可思議な攻撃をする。

キレて容赦無く
攻撃してきている割には
狙っている場所が
足や肩など機動力や
戦闘力を削ぐ所
ばかりで、
上半身を狙う時は
ナイフでの突きではなく
拳や蹴りの攻撃に
なっている。

「…成る程、こいつは
俺の探している
犯人とやらじゃ
なさそうだな…」

苦笑しながら
ぼそりと呟くと
突きを繰り出した少年の
下に潜り込み
思い切り蹴り上げる。

「ぐがっ

顎を下から
蹴り上げられた少年は
軽く吹っ飛んで
壁に叩きつけられる。

「…でも、そのまま
やられてるってのも
俺の性には合わんな。」

立ち上がると同時に
足のバネを使って
一瞬で間合いを詰める。

「っ……このっ

壁に叩きつけられ
ふらふらしつつも
向かってくる相手に
再び突きを繰り出す。

…が、


「遅い。」


その一言と共に
叩きつけられた踵が
少年の首筋に直撃する。

「…ぅ…

少年が踵を
叩きつけられた
勢いのまま
地面に突っ伏す。

「志貴

傍らで傍観していた
紫の少女が少年に
駆け寄る。

どうやら、少年の名は
"シキ"と言うらしい。

「…大丈夫だよ。
ただ気絶させただけ。」

流石に三連戦はキツイので
波風立てないように
言っておく。

「…その様ですね。」

脈等をはかり
気絶しているだけだと
分かったのか、
立ち上がり
冷静に返事をする。

「…出来れば戦いたくは
ないんだが。
あんたら三人共
俺が探してるのとは
違うみたいだし。」

溜息をつきながら
一応言っておく。

「探している…?
まさか、貴方も
件の吸血鬼を
探しているのですか?」

少し驚いた様に
聞いてくる。

「…あんたはまだ
話が通じそうだな。
助かった。」

苦笑しながら
倒れている"アキハ"に
近づいて
お姫様抱っこする。

「…?
何しているんですか?」

理解してないのか
首を傾げる。

「…家まで
送ってくんだよ。
こんな所で放置は
可哀想すぎるだろ…」

襲われたとはいえ
一応女の子だし
こんな時間に
こんな場所で
放置しておくのも
良心がどうこう言う前に
人としてどうかと思うし。

「…分かりました。
なら私は志貴を
連れて行きます。
家の場所は…」

「…あ〜、大丈夫だ。
知ってっから。」

シキを担ぎながら
言おうとするのを
遮る様に言う。

「…?何故ですか?」

不思議そうに
首を傾げる少女。

「…ま、それは
内緒ってやつだ。」

苦笑しながら
そう答えると、
ゆっくりと歩きだす。

丘の上にある屋敷、
遠野邸へと。
 

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