MELTYBLOODーCollapseOrder Night ON THE MADERS-

□ACT3.停戦協定
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ACT.3停戦協定

「…ん…?」

軽い頭痛を感じながら
うっすらと目を開ける。

見慣れた天井と部屋が
目に入る。

「…あれ…私…?」

むくりと起き上がる。
…すると、


「…お、起きたか。」


…先程いた敵が
のんびりと茶を
飲んでいた。

「なっ…貴方…

「琥珀さ〜ん、
茶ぁ〜おかわり
いいっすか〜?」

「はいはい、どうぞ

思わず身構えるが、
対照的に相手は
近くにいた従者…
琥珀にお茶のおかわりを
貰ったりしていた。

「ちょっ…
真面目にやりなさいっ
琥珀もこんな奴に
お茶なんて
出さなくて良いから

予想外の展開に
慌てながら声を荒げる。

「良いじゃないですか
久しぶりの再開を
楽しんでるんですから。
ね〜

「な〜

琥珀と男は
顔を見合わせて笑う。

「貴方達ね〜…
…って…久しぶり?」

一瞬再び声を荒げるが、
一つ引っ掛かり
首を傾げる。

「…もしかして秋葉…
俺の事覚えてない…か?」

お茶を啜りながら
少し悲し気に
眉を顰める。

「…ほら、志貴さんが
有間の家に行った後
数ヶ月だけ来てた
分家の…」

首を傾げる秋葉を
見兼ねて琥珀が
助け船を出す。

「…あ。」

そこまで言われて
頭に幾つかの
記憶が甦る。

「…もしかして…
…詩希(シキ)…?」

「…正解っ

にこりと、今甦った
記憶と同じ様に
詩希が微笑する。

「…なっ…何で貴方が
この街に
いるんですかっ

「がくっ…
久々の再開での
会話がそれかよ?
…まぁいいけどさ…」

気付いた秋葉の一言に
がくりといじけつつも
椅子に座り直す。

「…はぁ…
で、何でここに
いるんですか?」

いじけている詩希を見て
溜息をつきつつも
話を促す。

「いや〜…それが
両親が二人共
死んじゃってさ。
家とか無くなったから
この街に引っ越す
事になって。」

「…は?」

案外重要な事を
さらっと言ったので
思わず間抜けな
声を出す。

「…いやだから、
この街に
引っ越すって…」

「そこじゃありません

繰り返し言おうとした
言葉を遮る様に
再び声を荒げる。

「…えっと、
私の記憶が正しければ
貴方のご両親は
今はまだ40歳前後だと
思うのだけれど…?」

「そっ
でも年齢は
関係ないだろ。
殺されたんだし。」

「…は??」

再びのカミングアウトに
再び間抜けな声を出す。

「いや、だから殺された。
一年前の吸血鬼に。」

お茶を遮りながら
重要な発言を
連発する詩希。

「運悪すぎるよなぁ。
何でもこの街に
用事で来たその日に
襲われたんだと。」

「………………………」

あまりの衝撃発言に
もはや声も出ない。

「んで、来たら来たで
街ではまた吸血鬼騒ぎ。
だから色々と
調べてたんだよ。」

「ま、分かった事は
噂は噂に過ぎず
犠牲者は出てない事と
街では何故か皆
その噂を信じちゃってる
って事位らしい
ですけどね〜。」

「…琥珀さん
それ言われると痛い。」

再び琥珀と談笑を
始める詩希。

「…ちょっ…二人共…

ガチャッ

「…イタタ…まだ
首の後ろが痛いや…」

「志貴様…まだ
休まれていた方が…」

「そうですよ、志貴。
先程の彼の一撃は
加減はしてあるとはいえ
モロに食らったの
ですから。」

琥珀達に話掛けようと
したが、突然部屋に
入ってきた志貴達に
中断される。

「ぁ…兄さん…」

「…ん?あ、秋葉…
…って何でそいつが
そこにいるんだっ

案の定、椅子に座り
お茶を飲んでいた
詩希を指差し
大声を出す。

「…うはぁ、いきなり
そいつ呼ばわり。
もうそろそろ俺も
傷付くよ?」

志貴の態度など
お構い無しに
苦笑しながら
お茶を飲む。

「兄さん、彼は…」

「…やれやれ…
少し落ち着いて下さい。
彼は敵ではありません。」

「………………………」

秋葉が何か言おうとした
のを遮る様にシオンが諭す。

…が。

「…兄さん?
その女性は誰ですか?」

シオンの存在に気付いた
秋葉が志貴を睨む。

「…誰って…
あ、秋葉。
これには
深い訳がだな…」

「ええ、ええ。
よ〜〜〜く
判ってますわ、兄さん。」

志貴も慌てて
言い訳しようとするが、
秋葉はにっこりと笑い
明らかに怒っている。

「もちろん、私は
兄さんを信じています。
…けれどどうでしょう?」

笑顔のまま、
ゆっくりと志貴の方へ
歩いていく。

「…こんな夜更けに
異性を屋敷に
連れ込むなんて…」

そして志貴の
目の前に立ち、

「どう誤解されても
文句は言えませんよねぇ
兄さん?」

にっこり。

「まて秋葉落ち着くんだ
まずは兄の話を聞…」

ドバキッ

「げぇっ

どがしゃんっ

「志貴っ

秋葉の一回転回し蹴りを
食らって転がり、
壁にぶつかって止まる。

「お〜、派手に
いったな。」

苦笑しながら
お茶を飲む。

「…秋葉…せめて…
話を聞け…」

「嫌です。
今日はもうとことん
兄さんの女癖の悪さを
改善してあげます。」

蹲ったまま呻く志貴を
問答無用といった感じで
睨み付ける。

「…秋葉ぁ、
聞いてやれよ。
多分例の事件絡み
だからな。」

「…?」

志貴の胸ぐらを
掴んでいた手を離し、
強気な目のまま
詩希を睨む。

「…そうだろ?お嬢さん?」
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