幻想入り〜贋作する程度の能力〜

□厄神様と通る道
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あの戦いから1ヶ月、
帰ってきた極夜と白夜は
妖怪の山の近くの森に
家を建てて住んでいた。

色んな人々が自分の所に
居候しても良いと
言ってくれたが、
極夜と話し合った結果
そこまで迷惑は
かけられないという事で
こういう結果になった。

「…ふぅ…
今日も良い天気です
にこにこ笑いながら
洗濯物を干す。

因みに基本的に家事は
白夜がやっている。

極夜も同じ様に
家事位出来るのだが、
ここ最近は博麗神社に
奉仕(という名の雑用)に
行っている為
殆んどの場合
白夜がやっている。

「…さて、一段落
つきましたし
お茶でもしますか。」
少し伸びをして
小屋に入る。

数分後、お茶を持って
縁側に出てくる。

「…さて、と。
"貴女"もどうですか?」
にこにこ笑いながら
視線を前に向ける。

誰も居なかったはずだが
いつのまにか
1人の女性が立っていた。

「…あら、気付いて
いたの?」
きょとんとした表情で
白夜を見つめる。

「えぇ、少し前から
視線と気配を
感じたもので。」
答えながらゆっくりと
湯飲みにお茶を注ぐ。

「あらあら
苦笑しながら
ふわりと白夜の
隣に座る。

「どうぞ、お茶菓子も
ありますよ。」
にこにこ笑いながら
ゆったりと湯飲みを
差し出す。

「それじゃあ
お言葉に甘えて。」
湯飲みを受け取って
お茶を二人で啜る。

「…あら、美味しい
ほぅ…と息をつきながら
にっこりと微笑する。

「ありがとう
ございます
白夜も息をつきながら
にっこりと微笑する。

「………………………」

「………………………」

ぱっと見若そうな二人が
縁側でお茶を啜る。
…なかなかシュールだ。

「…そういえば、
貴女って神の一柱
ですよね?」
白夜がお煎餅を
齧りながら聞いてみる。

「えぇ、貴男もね。」
こちらはお饅頭を
食べながら答える。

「…神様二人が
縁側でゆったりと
お茶菓子を食べるって
結構シュールですよね。」

「…えぇ、そうね。」

互いに顔を見合せて
苦笑する。

「…さて、それじゃあ
私はもう行くわ。」
ゆっくりと立ち上がる。

「あ、そうですか。」
そう言いながら
お茶菓子と湯飲みを
片付ける。

「…ん、それじゃね。」

「はい、では。」

軽く手を振り飛んでいき
それを見送る。

「…………あ。」
姿が見えなくなって
家に入ろうとして
声を上げる。

「…名前聞くの
忘れてました…」







妖怪の山の何処か、
1人の女性…鍵山雛が
ゆったりとしていた。

「…ふふふふ
ふ〜んふ〜んふ〜ん
ふふふふ
ふ〜んふ〜んふ〜ん
ふふふふ
ふ〜んふ〜んふ〜ん
ふふふふふ〜ん
少しご機嫌に
鼻歌を歌いながら
厄と描かれた
お饅頭を食べる。

誰だかは知らないが、
自分と同じ神の一柱が
普通の家で家事を
していたのを見て
少し可笑しくなった。

ただそれだけなのに
何故か嬉しく
なっていた。

「……………あ。」
そこまで考えて、
ある事に気付いた。

「…名前聞いて
なかったわ…」
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