幻想入り〜贋作する程度の能力〜

□御伽の国の鬼と酒
1ページ/7ページ

「…よいしょ…っと。」
息を吐きながら
片手で荷物を
持ち上げる。

極夜は現在、
償いという名目で
朝から晩まで
雑用をやらされている。

普段は境内の掃除や
廊下の拭き掃除を
しているが、
今回は何やら倉から
荷物を運び出す
作業をしている。

なんでも今日、
日が暮れてから
境内で宴会を
行うらしい。

…そこまで考えて
あれ確かこの前やったばかりだったようなとか
色々思ったが
考えないようにする。

「…ん?」
境内まで荷物を
運んでくると
縁側に誰かが
寝っ転がってるのが
目に入る。

「…………………」
荷物を置くついでに
近付いて見てみる。

「…くか〜…」
寝ているのは
長いオレンジ髪の
小さな女の子。

ただ、目を引くのは
頭に生えている
二本の大きな角だ。

「…こいつ…
来てたのか…」
溜息をつきながら
取り敢えず荷物を
脇に置いて見下ろす。

「…おいこら起きろ、
伊吹萃香。」
取り敢えず何か
こっちは忙しく
動いているのに
目の前で寝てられると
イラッとくるため
蹴って起こす。

「…ん〜…んぁ?」
まだ眠そうに
目を擦りながら
起き上がる。

「…ったく…お前なぁ。
どうせ宴会では
お前が一番飲むんだから
手伝い位したらどうだ。」
取り敢えず頭を
両手で挟んで
ガクガク揺さ振る。

「ゔ〜わ゙〜ぁ゙〜
揺さ振られ変な声を
あげながら手を
バタつかせる。

「うらっさっさと
起きて手伝え
頭を離しデコピンして
再び倉に向かう。

「…うぅ〜…
しょうがにゃいにゃ〜」
ふらふらとしながら
後ろについていく。

「早くしろ。
…あ、出来れば
増えててくれ。
まだ数あるから
そっちの方が助かる。」
倉の入り口を
開けながら振り返る。

「ふぁ〜い…」
気の抜けた声を出すと
身体がぼやけ、
次の瞬間にはその場に
六人位のさっきより
更に小さな萃香が
現われていた。

「…はいはい、
さっさと終わらせたら
その分宴会が早く
始められて早く
酒が飲めるぞ?」

倉に入って
小さく増えた萃香に
にやりと笑いながら
呟いてみる。

「「「「「「本当っ」」」」」」
その一言にチビ萃香が
全員目を輝かせる。

「まぁ、全部は駄目だが
数本位なら俺が
霊夢辺りに頼んどく。」
苦笑しながら
足元の荷物を
持ち上げる。

「「「「「「うん分かった
頑張るーーー」」」」」」
元気良く返事すると
わらわらと荷物を
運んでいく。

「…おお、何か
思ったより効果
あったな…」
苦笑しながら
ゆっくりと荷物を
担いでついていく。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ