遊戯王5D'S〜光は闇に、闇は光に〜

□TURN1「光と闇の出会い」
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ここはサテライト、
ネオ童実野シティの
海を挟んだ先に存在する
孤島にあるスラムである。

最近、ここでは
セキュリティがうろつき
サテライト住民達は
一人は危険だと感じ
二人以上で行動
するようにしていた。

「…はぁ…」
サテライトの一角、一人の
少女が座っていた。

彼女の名前は
日暮 沙夜。

膝位まで伸ばした蒼髪、
ぱっと見中学生、
下手したら小学生に
見える位の身長など
中々特徴的だ。

しかし、少女は
溜息を付いている。

それもその筈、
彼女にはまだパートナーが
いないのである。

「(…他の皆はパートナーが
いるのに…
…世知辛い
世の中っす…)」
再び溜息をつく。

「…ん?」
目の前を誰かが
横切った気がして
顔を上げる。

人なら何人も
横切っているが、
その人影は一人
だったからだ。

「…いた。」
視線の先には、
黒いコートを着た人が
一人で歩いていた。

髪がとても長いから
一瞬女性かと思ったが
体付きと歩き方から
男性だとわかる。

「…あっあの
待って欲しいっす
思わず駆け寄って
声をかける。

「……………………?」
ぼーっとした顔で
男性が振り返る。

「…っ…
立ち止まり思わず
見つめてしまう。

男性は片目を眼帯で
隠しているが、
女の子に負けず劣らずの
綺麗な顔をしていた。

「…何か用か…?」
顔に似合った綺麗な声で
話し掛けられる。

「…あっ…えと…その…」
思わずもじもじ
してしまう。

「………………………」
男性は怪訝な顔を
しつつも律儀に
待ってくれている。

「…わっ…私の
パートナーになって
欲しいっす
真っ赤になりつつも
目の前にいるのに
大声で言ってしまう。

「…パートナー…?」
少し驚きつつも
言葉を返す。

「…えと、
最近危ないから
安全の為のパートナーに…」
理解出来なかったと
感じ取り慌てて
付け足す。

「………………………」
髪と同じ黒い瞳で
こちらを見つめてくる。

「………………………」
ドキドキしつつも
答えを待つ。

「…悪いが、私は
誰かと組む気はない。
…他を当るんだな。」
それだけ言うと
髪とコートをなびかせて
立ち去ってしまう。

「…あ…はぅ…」
がっくりとうなだれる。
やっとパートナーと
巡り合えたと
思ったのに。

「…沙夜〜、あんた
なにやってん…の

「うわぅっ
声と共に尻を叩かれ
びくりと仰け反る。

「…あ、思ったより
強くやっちゃった。
ごめん沙夜。」
叩いた人物はあははと
苦笑しながら謝る。

「…うぅ〜…
…痛いっすよ
ミナちゃん…」
叩かれたお尻を
擦って叩いた人物、
式城美波を睨み付ける。

「まぁまぁ、そんな事より
あの不知火さんに
声かけるなんて
沙夜もやるね〜
にやにや笑いながら
肩を組んでくる。

「え?あの人そんなに
有名な人なんすか?
確かに綺麗
だったけど…」
きょとんとして
首を傾げる。

「…あ、知らないか。
まぁそんな事だろうと
思ったけど。」
苦笑しながら
一枚の写真を出す。

そこにはさっきの人が
写っていた。

「…不知火 白夜、
年齢は私達より一つ上、
理由は不明だけど
誰とも組まず
タッグデュエルは絶対に
行わない。」
片手に持った手帳を
見ながらすらすら言う。

「…誰とも
組まないんすか…」
ほぇ〜と写真を
見つめる。

「うん、噂では
昔何かあったらしい
けどね。
今は確か姉のユリアって
人と一緒に住んでる
らしいけど…」

「…不知火白夜…」
何故だろう。
断られたのだから
次の人を探せば
いいだけなのに
あの人が気になる。

「…うん、やっぱ
あの人がいいっす。」
そう呟くと美波に
振り向く。

「…ん?どした?」
きょとんとした表情で
見つめ返す。

「ミナちゃん、
そのユリアさんは
どの辺に住んでるか
教えて欲しいっす。」
真剣な眼差しのまま
見つめる。

「…はぁ…
こうなると梃子でも
動かないんだよねぇ…」
苦笑しながら
頭を掻く。

「…私の情報では
四番区のジャンク屋に
住んでる筈だよ。」
手帳を開いて
見ながら指差す。

「ありがとうっす
急いで指差す方向へ
歩いていく。

後ろから今度奢ってね
という声を聞きながら。
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