リリカルなのはStrikerSJoker

□第一話「新しい教導官なの」
1ページ/4ページ

ある晴れた日、
時空管理局の本局を
一人の男が歩いていた。

「…ったく…
久々に来たのに
出迎えも無しかよ…」
ぼそりと文句を呟き、
再び歩きだす。

黒髪を足元まで伸ばし
更に右目には眼帯を
付けているためか
目立つ様だ。

道行く局員達が
チラチラと視線を向ける。

だが、そんな事には
全く関心を示さず
男は歩いていく。

「…ん?」
ふと前を見ると、
こんな所では珍しい
10歳位の男の子と
女の子が歩いている。

「…ふむ、お〜い。
お前ら〜。」

「ふぇ?」
「はい?」

呼び掛けてみると
すぐ二人共止まり
こちらを振り向く。

「…ふむ…
嬢ちゃん、名は?」
取り敢えず突然
名を聞いておく。

「ふぇぇ?
キャロ・ル・ルシェですけど…」
驚きながらも答える。

「…そっちの坊主は?」

「え?あ、
エリオ・モンディアルです…」
こちらも驚きながらも
つい答える。

「…キャロにエリオか。
OK、覚えておく。」
それだけ言うと、
手を上げて去っていく。

「「……………………」」
思わず固まったまま
二人して見送る。

「…なんだったのかな、
今の人。」

「…さぁ…?」







暫く歩いていくと、
少し開けた所に出る。
どうやら中庭の様だ。

「…〜
どこからか鼻歌が
聞こえてくる。

音を頼りに探すと、
少し向こうのベンチに
座っている女の子が
歌っているようだ。

「…おう、嬢ちゃん。
良い歌じゃねぇか。」
けらけら笑いながら
近づいてみる。

「…………………?」
すると、きょとんとした
表情で見つめた後
じろりと睨まれる。

「…んぁ?どした?
ちっちゃい嬢ちゃん。」
突然睨まれたので
きょとんとしながら
ある程度近づく。

「…何だお前は、
失礼な奴だな。」
睨んだまま
ぼそりと言う。

「…あぁ、何だ。
何かよくわからんが
すまんな嬢ちゃん。」
そう言いながら
頭をぽんぽんと撫でる。

「だからその
嬢ちゃんはやめろ
私の名前は
ヴィータだっ
とうとうキレたのか
腕を振り払って
さっきより強く睨む。

「…ヴィータか。
OK、覚えておく。」
にやりと笑いながら
そう言うと、
さっさと去っていく。

「あっおいこらっ

追い掛けようとするが、
何時の間にか男は
消えていた。

「…何なんだ一体…?」







更に少し歩くと、
綺麗な剣が目に入る。

「…ふっ…ふっ…」
ピンク髪をポニーテールにした
女性が中庭の真ん中で
剣を振っている。

その綺麗な太刀筋から
かなりの使い手である
事が分かる。

「…ほう…
中々綺麗な太刀筋で。」
ゆったりと近づいて
話し掛ける。

「…?…あぁ、
ありがとう。」
やはり一瞬きょとんと
するが、すぐに
微笑する。

「…名を聞いても
良いかな?」

「あぁ、我が名はシグナム。
ライトニング分隊の
副隊長を務めている。」
微笑したまま
普通に受け答えする。

「…シグナムか。
OK、覚えておく。」
苦笑しながら頷く。

「…ところで貴殿は?」

「…気にすんな、
さ、続けて。」
疑問には答えずに
素振りを促す。

「…あ、あぁ。」
戸惑いながらも
素振りを再開する。

「………………………」

「…ふっ…ふっ…」

「………………………」

「…ふっ……ふっ……」

「……………………」

「………………………」

流石にじっと見られると
遣り辛い。

「…時にシグナム。」

「…?何ですか?」

突然話し掛けられ
驚きながらも返す。

「…剣振っている時
そのでけぇ胸
邪魔になんねぇのか?」

///」

突然の一言に
剣を振った勢いのまま
思い切りずっこける。

「あれだな、取り敢えず
あだ名はおっぱい魔人
つー感じだな。」
あぎゃぎゃぎゃと
笑いながらこけている
シグナムを放置して去る。

「っこの無礼者がぁっ
真っ赤になったシグナムが
がばりと起き上がり
叫ぶが、もうそこには
居なかった。

「…って何処行った
きょろきょろと
見回してみるが、
全く見当たらない。

「…くそ…次会ったら
必ず仕置きして
くれる…







「…〜
ある程度色んな人を
からかって少し
上機嫌のまま
ぶらぶら歩く。

「わぁ〜ん
助けてなのです〜

「…ん?」
何やら必死の叫びが
聞こえたので
振り向くと、何やら猫が
小さな人形の様なモノを
くわえていた。

「……………………」
取り敢えず見つめる。

「わぁ〜ん
離して離して〜
くわえられている
人形の様なモノは
半泣きになりながら
じたばたしている。

「…こら、猫。
そんなモン食ったら
腹壊すぞ。」
流石に見兼ねて
猫を軽く叩くと、
猫は人形を離して
走っていった。

「…はうぅ…
怖かったです…
食べられるかと
思ったです…」
へたりと座り込んだまま
ぐすぐす泣きべそを
かき始める。

「…おい、ちび。
大丈夫か?」
溜息をつきながら
軽く頭を撫でる。

「はい…
すみませんです…
…ってはわぁっ
少ししゅんとして
顔を上げた瞬間
驚いて後ろに転げる。

「…そんな驚く
事じゃあねぇだろ、リィン。」
頭を掻きながら
ひょいと小さな女の子…
リィンフォースUを摘み上げる。

「…す、すみません…
あ、皆はあっちで
待ってるですよ〜
ふよふよと肩に
乗りながら指差す。

「…あれか、もしかして
お前が出迎えか?」
肩に乗っているリィンに
話し掛ける。

「…あはは…」
困った様に苦笑する。
…どうやら図星の様だ。

「…まぁいい。
取り敢えず行くぞ。」

「はいです。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ