幻想入り〜贋作する程度の能力〜

□御伽の国の鬼と酒
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数分後、萃香が
頑張ったおかげで
思ったよりかなり早く
準備が終了した。

…が。

「………………………」
一つに戻った萃香は
縁側でむくれている。

理由は簡単だ。
終わったので霊夢に
ご褒美もらいに行ったら
まだ買ってなかったので
買ってくると
待たされているからだ。

「………………………」
で、その近くにいるのは
極夜ただ一人だから
そのイライラオーラを
一身に受けて冷や汗を
かいている。

「……むぅ〜………」
俯せに寝転んで
足をぱたぱたさせる。

ぱっと見可愛らしい
感じではあるが、
腐っても鬼である。
(腐ってもないし)

機嫌を損ねたら
その怪力で
叩き潰されるのは
分かり切っている。

そして今現在イライラの
矛先が向きそうなのは
一番近くにいるというか
唯一その場にいる
極夜ただ一人である。

「…その、なんだ。
残念だったな?」
あははと苦笑しながら
一応話し掛けてみる。

「…………………………」
…ぴくりとも反応せず
動かしていた足も
止まっている。

「…おい萃香…?」

「……………………」

つついてみるが、
全く反応が無い。

「…酒切れたか。」
溜息をつきながら
頭を掻く。

「………うん…………」
ぐったりしたまま
小さく返事する。

「…ったく…
しゃあねぇぁ…」
流石に見兼ねて
掌から酒を出す。

目の前で何か
ぐったりされるのは
流石に迷惑である。

「…うれ、酒だ。
取り敢えず飲んどけ。」
ドンと音を立てて
萃香の横に瓶を置く。

「…お酒っ
そして一瞬にして
らっぱ飲みされる。

「……………………」
ここまで豪快に
飲まれると何か少し
嬉しい感じだ。

「…っぷはぁ〜
ヤバイこれ美味い
一気に飲み干し
豪快に息を吐く。

「…そうか、
そりゃ良かった。」
思わず苦笑してしまう。

「ふにゃ〜
ホント美味いにゃ〜///」
顔を軽く赤くして
極夜に寄り掛かる。

「……………………」
取り敢えず見つめる。

「…にゃ?///」
ほんのりと頬を赤らめ
とろけた目で
見つめ返す。

「……っ……///」
目が合った瞬間
顔を赤くして
顔を背ける。

…何故だろう。
あの萃香が艶やかに
見えてしまった。

「…なんれ目ぇ
そらすんら〜?///」
頑張って顔を
背けていると、
突然萃香が顔を掴み
無理矢理自分に
向けさせる。

「……ぁ………///」

近い。
目の前に少し赤い
萃香の顔がある。

萃香の甘い吐息が
鼻腔を擽る。

その甘い吐息を出す
小さな唇は今自分の
目の前に…

「たっだいま〜

「っ///」

突然の大声に
咄嗟に萃香の顔と
距離をとる。

「全く…やっぱりお酒位
買い置きしとく
べきかしら?
まぁ置いといたら
萃香に全部飲まれ
そうだけど…
って何やってんの?」
買い物してきた荷物を
置いて伸びをし
極夜達を見つける。

「…い、いや。
何でもねぇよ。」
苦笑して誤魔化す。

…危なかった。
内心そう思いながら。
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