短編

□色写し
1ページ/3ページ



ずっとずっと独りだったから。
ずっとずっと闇の中だったから。

私は、光と言うものを知らなかった。


あの場所で、シャニ様に会うまでは。






『そんなところで何してるの?』


『……』


喋ろうとせず地面に伏したままの私の目の前にしゃがみこみ、小さな手をのばしてきた。


『わっ!たくさんケガしてるじゃない!』


『!?!?』


『血もたくさん出てるね…。大丈夫?あ、もしかしてキミ、喋れないとか?』


『…へいき。ほうって、おいて』


『ダメ!行こう?ちゃんと手当てしないと』


ふいと、なけなしの力でそっぽを向いた私の肩に手をかけ、後ろの護衛に指示を出していた。

私の、彼と出逢った最初の記憶はそこで途切れた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ