妄想物

□序章
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――夜、京都。
光が溢れる市街から離れ、ぽつぽつと並ぶ電灯のほの暗い灯と頭上に輝く満月だけが道を照らしている。科学による発展を遂げたとは思えぬほどに辺りは暗い。
そんな道を少女は歩っていた。

京都の北に位置する船岡山。その麓に少女の家がある。少女はそこに向かっていた。

「寒い…」

もう初雪も降りた。辺りには今も昼間に降った雪が溶け残っている。暦は師走の半ばで、寒さも厳しくなってきた上に今は夜。コートに手袋、マフラー、耳あて。寒気対策は行っているものの、どうしても露出する顔が寒い。
いっそのこと、目だし帽を被ってゴーグルとマスクでも着けて歩こうか。と考えるが、なけなしの羞恥心で踏み止まる。

「……寒い…」

呟いて頭上に輝く満月を見上げる。

「アレが落ちてたのも、こんな日だったか…?」

曖昧に疑問系にしつつも、瞳は優しく過去を振り返っていた。

「まぁ今みたいな冬ではなく…暑い夏の日だったが」

視線を前に戻す。そこには溶けた雪でできたのだろう大きな水溜まりが道いっぱいに広がっていた。
少女は思わず眉根を寄せる。ふと、頭の奥に懐かしい声が蘇った。


――そんなに眉根を寄せていると、なんだかあいつを思い出すな…。ホラ、前にも言っただろう。そう…青龍だ――


今日はやけにあの頃を思い出す。つい昨年の出来事だし、アレといたのも6ヵ月、1年の半分も一緒にいたのだ。思い出すのだって何も今回が初めてじゃあない。ほら、何も不思議なことはない。

でも、でも。

何故か胸が騒ぐ。

「――アレを拾う直前も、こんな感じだった…」

また。思い出した。

頭の奥に警鐘が小さく鳴り響く。それを追い出すように頭をふり歩きだした。
幸いにも、足元はブーツ。少しなら濡らしても構わないだろう。
一歩二歩と水溜まりに近づいていく。水溜まりの調度中心には満月が映りこんでいた。

――ぱしゃり。

少女の足が水を揺らし、満月をも揺さぶった。

――ぱしゃり。

更に大きく揺れ、円形は崩れる。

――ぱしゃり。

少女の左足が崩れた満月を薄く踏んだ。
そして、右の足がいびつな円を跨ぎ越えた瞬間――

「え……?」

――淡い月色の光りに包まれて、少女は消えた。

《next?》

あとがき(みたいなの)。

もともと日記に上げていたのをブックに上げてみました。だってもったいなかったんだもの。
そしてまたまた続くか判らないという・・・。主人公が跳んでくる辺りまでなら浮かんでるんですけど、行き当たりばったりの上妄想も飛び飛びなので間をつなげるのに一苦労します。

だれか私の妄想を引き継いで書いてくれる人いませんかねぇ?『妄想担当:空目 文章担当:親切な方』みたいに・・・
 

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