mein

小説
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あのとき

あの人の気持ちに
――――気付いていれば



<<非通知>>





「…もしもし」

どうして俺は消してしまったんだろう

「…なんだ……お前か」
『なんだとは何よ、ひどいわね』

あの人だけは
裏切らないと誓ったのに

『今から…どう?』
「…ああ」


俺は電話を切ると
出掛ける準備を始める

この寂しさを埋められるなら
誰でもよかったんだ






「…あっ……」

女の家に着けば
もうすることは決まっていて

「……んぁ…」

(なんで俺は……)



「ん……気持ち良かった?」
「ああ」

「…嘘つき」

「何か言ったか?」
「別に…それより何かあったの?」
「なんで?」

何かあった、なんて
あの人みたいに聞くなよ

「いつもと違うから」
「そんなことねぇよ」

またあの人の言葉

これじゃあまるで……


「まるで俺のこと好きみたいだ…」




――あの人の言う通りだった


「…好きだなんて言ったら、あんたは私から逃げるじゃない」

好き…だったのか

「馬鹿みたい…あんたに女がいっぱい居るのは知ってたわ」
「……」
「ついでに…本命がいたんでしょ?」

なんで…

「わかるわよ…好きなんだから」


どうして女って生き物は
俺を狂わせて傷つけて


「……ごめん」
「別に…そんな言葉いらないわ」



傷つけているのは…俺、か






「もう連絡しないわ」
「…ああ」


今まで、ありがとうな

そう言って俺は、女の家を出た



俺は自分の家に着くと
帰りに買った弁当を温める


あの人は俺を受け入れてくれた
どんなことをしていても
俺をわかってくれようとした
叱ってくれた
俺のために泣いて
俺と一緒に笑ってくれた


けど俺は……

あの人がいることが
当たり前になりすぎていて

あの人の前で別の女を抱いた




あの人は……泣いていた





ブブブ、ブブブ

携帯のバイブ音が部屋に響く


"非通知"





俺は君の番号を消してしまったから
連絡することは出来ないけれど

いつか君から――――




『……………』

「…もしもし」


『………っ…』



いつか君から
連絡が来ると思って



「ごめん…俺………」
『…っ……わたっ…し………』


「………好きだ」







もう裏切らない
俺は…もう繰り返さない

君が許してくれるなら


ずっと俺の傍で笑っていてくれ









―――愛してる













――――――――――
私的BGM
深淵/小野大輔

【あとがき】
駄文にもほどがある(泣

女遊びの激しい彼が
ある一人の女性に出会って
改心していくんだけど
やっぱり寂しくて…

一度は離れてしまうんだけど
彼女も彼を愛してるから
彼の心の傷を知ってるから
彼に気持ちがなくても
ただ連絡をしたい
そう思って電話をした

お互いに想いあっていたから
結果として、また愛を囁きあう二人

そんなお話


あとがき長いね(´Д`)
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