mein

小説
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『……ごめん』


終わった…終わったんだ………



<<幼なじみ>>



あの人と別れて私は一人になった。
別れて、っておかしいか。
さよならしたんだ。
ゲームは終了。
私が彼を好きになった時点で負け。

「…言うつもりなかったのに」

しかも彼に気持ちを告げてしまった。
これは反則。ゲームオーバー。
だから、さよならした。

なのに―――――――。

「なんっ…でっ………私……っ」

馬鹿みたい。
今でも好き。愛してる。
彼とは遊びだったとしても私は――。


ガタッ


「…また…かよ………」
「……っ…!!!」

今、目の前にいる彼は私の幼なじみ。
いつも勝手に部屋に入って来て。
私のためにご飯作ってくれて。
馬鹿な話をたくさんして。

「ほんと…タイミング良いわね」
「…………」
「彼と…さよならした………」
「…………」
「さよならしたの。さよならしたの…。ねぇ…私、さよならしたの…。」

ばいばい、って。
自分からさよならした。
もう会えない。
あの人は私を孤独から救ってくれたの。
だからだからだから……!!!

「ほんとは失いたくなかったのに」

私だけを見て欲しかった。
私だけを愛して欲しかった。
私だけを…私だけ……私………。


「私…また一人だね……」









「何で?」
「えっ……」

何で…?
そんなのあの人が居なくなったから。

「何でお前はっ…俺っ………」

どうして?

「何であんたが泣きそうなのよ」

彼が泣いてる…
とっても綺麗な涙。

「俺がいるだろ!!!何で…何でわかんねぇんだよ!!」

気付いたら私は彼の腕の中だった。

「俺がいる!!友達だって!!お前のバイト先の同僚だって!!!お前は一人じゃないだろ!!!!気付けよ…!!」

痛い……。
ああ、これは。
さっき切った手首の傷。

「寂しいの…寂しい……私…」

抱きしめて。
ずっとずっとずっと。

「俺はお前が…」

私はあの人が…

「好きだ」

好きなの











『ありがとう』


あいつは最後に俺を見て微笑んだ。
俺だけを見てくれた。
それが俺の望みだった。

「俺は…お前を一人になんかしない……一人になんか…してやるもんか」

俺はお前を守るナイトになりたかったんじゃない。

「俺はお前の王子様」


お姫様だっこ、なんてふざけてやった時を思い出す。
お前…軽いなぁ………。



「行こうか…姫」





その日僕らは結ばれた――――。










―――――――――――――
<<あとがき>>
"非通知"に出てきた遊び相手の女の子のお話になります。

最後は二人とも死にました。
彼女は出血多量。
彼は死んだ彼女を抱いて
マンションから飛び降りました。

本当に結ばれたのかはわかりません。
結ばれることが幸せとも限りません。

久しぶりに死ネタを書いてみましたが
難しいですね…うむ。
拍手からの感想待ってます^^
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