長編【蛍石は鈍く耀う】
□5.アルメリア
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「あれ、髪切ったのか。」
家を出ると、迎えにきていた炭治郎が先に声をかけてくる。確かに昨日髪を切ったけど、梳いてもらって長さを揃えただけだったので、気づいてくれるとは思っていなかった。
「あ、うん。長さ変えてないのに分かったの?」
「見ても分かったけど、いつもと違う匂いもしたから。」
匂いって、美容院のシャンプーの?でも帰ってからお風呂に入ったんだけど…そんなに匂うものなんだろうか。炭治郎、鼻が良すぎじゃない?
「おはよ!あ、ヒツメちゃん髪切ったの?かわいい!似合ってるよ!」
会うなり、善逸もすぐに気づいてくれた。
「少し梳いて長さ揃えただけだよ。髪の量が多くってね。」
自分の髪に指を通しながら言うと、善逸が同じように髪に触れてくる。この前の告白を思い出してしまって、一気に恥ずかしくなってしまう。
「そう?そんなに多く感じなかったけどなぁ。」
「あ、いや…うん。」
思わず変な答えを返してしまった。変に意識してしまって一人で恥ずかしくなってしまう。大体、彼のボディタッチや可愛いとか好きとか口にするのはいつものことなのだ。
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