長編【蛍石は鈍く耀う】

□8.天竺葵のアイビー
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炭治郎の事を好きだという女生徒から、逃げるように校舎の中まで来たのはついさっきのこと。

炭治郎の真っ直ぐな視線が痛くて思わず目を逸らしてしまう。付き合ってほしいなんて言われて、平常心を保てるほど、私は恋愛経験が豊富な方じゃない。

「好きだ。俺と付き合ってほしい。」

戸惑う私に、炭治郎はもう一度繰り返す。心臓がどきりと跳ねる。炭治郎の真っ直ぐな気持ちが伝わってくる。この申し出を断る理由なんてどこにもない。

「私も、炭治郎が好き。」

私は炭治郎の気持ちに応えたいと思った。


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