パロ噺
□【女体化】花灯路(その12)
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指先から、角帯がすべった。
わずかに舌打ちをする土方。
どうも新しい帯は、堅い上に締めにくい。
紫の入る黒は気に入ったものの、馴染むまでに時間がかかりそうだ。
「さて、どうすっかな」
時計を見ると、まだ六時前。
探せば仕事なぞいくらでもあったが、今日はキリのいいところでやめ、隊服も脱いだ。
そんな真選組は給料日。
屯所も活気がある。
時々、奇声が上がったり方々から笑い声が聞こえた。
なのに。
時間にも財布にも余裕がある夜なのに、沖田が江戸にいない。
ため息混じりに座布団に座った土方は、そこからゴロリと横になる。
そして、本屋を覗いてラーメンでも食べてくるかと、今夜の過ごし方を考えた。
沖田はお通のツアーに同行し、江戸に近い町にいる。
こんな時、自家用車でもあればライブを見にいけただろうか。
初めてのツアーは、プロモと違い、曲数が多い上にほぼノンストップで踊るらしい。
そのため、連日のリハーサルでクタクタになっていた沖田。
無事に踊れているのかどうか、一度くらいは観客として見てみたい土方だった。