同い年
□続編「デートをしよう」その1
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デパ地下も秋たけなわのころ。
コンビニだって負けてはいない。
マロン味のみならず、ぶどう味に洋ナシ味。
食べごろとばかりに並ぶデザートたち。
三年Z組の沖田は、天津甘栗をカバンに入れた。
季節感があるようで、実は年中コンビニで売っている。
ザワザワガタガタと、生徒たちが帰り支度をする放課後。
「総悟、今日バイト?」
そう聞いてくるのは、禁煙パイポが、もはやトレードマークになった土方。
それはおしゃぶりと同じだ、と何度も沖田はからかうが、やめることをしない。
「土日、目一杯働いたんでさぁ。今日くらいは休みですぜ」
そのタイミングのよい返事に、土方は一歩沖田に近づく。
「お。バッティングセンターいかね? 割引券もらったんだ」
私大への推薦が決まっている二人には、お気楽な放課後である。
「いいですぜ。百五十キロの高速スライダーをセットして、三球勝負しやしょう」
「バッカ、おまえ、男は直球だろう、直球! ストレートで勝負な。山崎もいくか?」
土方の横には、重そうな辞書を二つ、カバンに詰め込む山崎がいた。
「冗談やめてくださいよー、俺はまだ受験の真っ最中ですよ」
眉を八の字にして、山崎が悲しそうにカバンを抱える。
下がり目だけに、いっそう悲壮感が漂う。