黒夜叉
□その3
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小さな交差点にあるコンビニ。
駐車場には、パトカーが一台。
その他の車はなく、客もいない。
入り口のドアには、おにぎり三十円引きのポスター。
それを背景に、沖田は土方と向かい合っていた。
「アンタが期待以上のマヌケ面するんで、俺ぁかなり満足してやす」
そういって微笑むのは沖田。
いつもは隊服か平凡な和装姿がほとんどだが、今は濃い紫のチャイナ服。
白い七分のズボンも独特な形に膨らんでいた。
「そ、その、そのふ‥‥、服っ!!」
一方の土方。
いうまでもないが、瞳孔は全開。
バックリ口を開け、迎えにこいと甘えてきた部下に、視線が釘付けだ。
「ああ、この服ですかぃ。チャイナの兄ちゃんに借りたんでさぁ。
アンタだって会ったろぃ?」
と。
一歩土方に歩み寄った沖田は意味深に同意を求める。
「ぬ、なっ、何で、そ、それを!」
慌てる土方に気をよくした沖田は、さらに一歩近づく。
それから、鷲掴みにした刀の柄を鼻面につきつけ、ニヤリと笑う。