短い噺

□【小話】記憶
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切れかかった豆電球。


チカチカと忙しく瞬いて、とてもわずらわしい。

そして、それに合わせるようなリズムで、秋の虫が鳴く。


そんな真選組屯所の廊下。
夜半過ぎとはいえ、二十四時間体勢のためあちこちに人影がある。


監察の山崎は、幹部の私室近くの庭にいた。
慌てながら草履を脱ぎ、縁側に上がろうとしている。

「ぐあああ。コオロギかよっ。俺の足に寄るな触るなぁあ」

ジタバタと小刻みに足を動かし、山崎は邪魔な虫を振り切っていた。

くたびれた寝巻き姿だが、手にはラケットを持つ。
おそらく寝る前に素振りでもしていたのだろう。


「うっせーな、ザキ」


すると縁側の端から、沖田が現れた。

こちらも白い寝巻きを着ているので、眠りにつこうというあたりだろう。
沖田の部屋は逆方向にあるので、厠の帰りかもしれない。
 
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