ライチ薔薇小説
□道化師の僕と乙女な君。
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「ねぇ、ヤコブ、私好きな人が出来たの!」
あぁ、またいつものやつが始まった。
これで何回目だろうか、本当に雷蔵の移り気には呆れる
ちくしょう、ムカツク。
お前の隣にはこんなにお前を大事に思ってる幼なじみが居るってのにさ、
誰だよ好きな人って…
「ふーん、どうせまたいつもみたいにすぐ嫌いになるんだろ?
それで僕に愚痴る、変わらないじゃん」
嫌味を込めてそう返す。
そしたら雷蔵はやっぱり膨れっ面になって、
あぁ、可愛いなぁ僕の幼なじみ。
いつもキモいなんて言ってごめん、そう言えたら良いのに
「そんな事ないわよ!今回は違うの!本気なの!」
本気…?雷蔵が?嘘だろ?だっていつもさ、『あの人カッコイイ!』で終わるじゃん、
「その人ね、私の事とっても大事に思ってくれてるの。」
やだ、やめろ、聞きたくない。
だって本気ってことはさ、上手く行ったら、ソイツと付き合うって事だろ?
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、ライゾウが他の男となんて、そんなの。
「それでね、いつも私を笑わせて幸せにしてくれるの」
いつ出会ったんだよ、そんな奴。
あーあ、これじゃあいつもライゾウが男見そうになったら、下手なギャグ言って気を引いてる意味ないじゃん。
本当に僕はとんだ道化師だ。