ライチ薔薇小説
□道化師の僕と乙女な君。
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「ねぇ、なんとか言いなさいよヤコブ」
なんだよ、なんとかって。
「頑張ってね」とでも言えばいいのか、
カネダやダフみたいに?
そんなの嫉妬心の塊で、女々しい僕に言える訳がない。
馬鹿、本当に馬鹿。
何がって今更になって、もっと優しくしていればライゾウはって考えてる僕が一番の馬鹿だ。
本当は聖子ちゃんより百恵ちゃんよりずっと可愛いって思ってるのに。
ずっとずっと、好きだったのに。
「もう、ヤコブったら雷ちゃんの一世一代の告白、無駄にするつもり?」
は?今、何て…何て言った…?
告、白?
僕が呆けた顔をしていると、雷蔵の頬は赤くなり目がみるみるうちに潤み始めた。
「馬鹿、好きって言ってんのよ!もう、本当に馬鹿っ!」
馬鹿馬鹿、とライゾウは僕の胸を叩く。
何だこれ、告白ってことはつまりライゾウの好きな人は僕なわけで。
自覚した途端に、嬉しくなり、そのまま僕の腕に可愛い可愛い幼馴染を閉じ込めた。
顔が熱い。爆発してしまうのではないかと思うほどに。
「もう…なんでこんなブサイクで鈍感な男、好きになったのかしらねぇ?」
「しょうがないじゃん、大体そういう移り気でイケメン好きな奴は結局最後にはこんなブサイクと結婚したりするんだからさ、世の中の法則だよ」
道化師な僕と乙女な君
(だからどうか、僕で最後の恋にして)