小説 (銀魂関連)

□♪1)失う事を知っていても 《如李
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失う事を知っていても  《如李》


雲一つない快晴の昼・・・いつもの様に川原で寝て・・・あんまりにも空が綺麗だからアイマスクをせずに

寝ていると、視界の端で何かが揺れる・・・そちらに目をやると主張の強いオレンジの花が一輪だけ咲

いている・・・俺は、無意識にそれを摘み、ある道を歩く・・・歩きながら、花のその色が君を連想させて

・・・気が付くと万事屋の前に俺はいた・・・
何してんだ俺は・・・会ってもまた喧嘩だけなのに・・・
そんなことを思いながら二階の万事屋を見上げると、玄関が開いた
「・・・!・・あれ、沖田君どしたの・・・・・・神楽なら今居ないよ」
「・・・別に、前通りかかっただけでさぁ・・・」
「あーそう・・・」
そうだよ、あんな奴に用なんかねぇんでさぁ・・・・・・・・・・・・・・何所行ったんだろう・・・・・・・・
また、自分の意思も無く今度はアイツがよく居る公園に来てしまっている・・・
「居ねぇや・・・」
駄菓子屋にも姿はない・・・
何故か君を探す足・・・次第に高まってゆくこの気持ちはなんなのだろう・・・
俺は何故君を探しているのだろう・・・・・・・・・・・・・・・欲しいから・・・・・・・・・・・
え?−−−−・・・一瞬何か自分の奥底から声が聞こえる様な感じだった・・・
欲しい?・・・俺はアイツが欲しい?−
それは、本当に本当に幼い頃以来失くしていた感情だった・・・
今まで本当にナニカを求めた事は無いから驚いた・・・
本当に欲しいモノなんて無かったから・・・
・・・いや、手に入れてもいつかは失うことを知っているから・・・それが恐くて何時からか求めないよう

にしていたのに・・・・・・・・
・・・ははっ・・・なんで人間はいつか失うモノをわざわざ得ようとするのだろうと、いつも思っていたけ

ど・・・・・
「俺も一丁前に人間なんだなぁ・・・」
そう言って一人俯き笑って、ふと顔を上げると神社の前に来ていた、こんな方までは中々出向かない

からあまり来たことのない神社だ・・・
高い急な階段の上からカツンカツンっと音がする
静かに階段を上がって行くと、探していたモノの背中が見えた
それの腕はリズム良く石を地面に投げている
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