小説 (銀魂関連)

□♪2)欲求不満と好奇心 《如李》
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欲求不満と好奇心 《如李》


日も暮れ始めたので、俺は帰ろうとした・・・歩きだすと地面で何か揺れて目線を下にやると、さっき俺が摘んだオレンジ色の花が落ちていた。
チャイナと戦った時に落としたんだろうけど、ずっと探す間握り締めていたのにその花は萎れもせず
元気なままだ・・・花を拾いじっと見ているとまたチャイナが恋しくなる・・・
後ろに居るのに・・・まだ遠い・・・
後ろを振り返ると、チャイナはしゃがみ込んで小石を積んで山を作っている・・・神社の沢山の杉の木
の間から差す夕日の光が、チャイナの髪をより一層赤いオレンジに染めて輝いている。
オレンジは欲求不満の色と聞いた事がある・・・でも、多くは充実感やエネルギーを呼び起こす色とか、楽しいことの予感や温かさを感じさせる色、好奇心をそそる色などと言うのだろう・・・
まぁ、どちらにしろ今の俺が当てはまる・・・
この花や君を見る度、言い知れぬ不安感に襲われて、欲しいと願ってもまだ遠い事に苛々している反
面、それを満たそうと必死になるのが凄く楽しくて、チャイナの知らない表情や癖等が見え隠れする
度に興味を持ってもっと欲しくなってゆく・・・
この花に無意識に手が伸びたのも、君をここまで探しに来たのも、その色の力なのだろうか・・・
惹きつけられて、離れるのが寂しい・・・近くに寄れば寄るほど心が高鳴る・・・
こんな人間は初めて会った・・・初めて会った時から俺を楽しませてくれた、こいつの持ってるこの力は何なのだろう・・・きっとこの力に惹かれてるのは俺だけじゃない・・・
あぁ、やっぱり不安もある・・・あまり長く今の状態では不安感の方が大きくなっていくだろう・・・
なるべく早く手に入れなければ・・・
「おい、チャイナ帰らねぇんですかぃ?」
「・・・うっさいアル!!変態はさっさと帰るヨロシ!!」
あぁ・・・変態呼ばわりされちゃったよ・・・
「帰るんだろぃ?送ってくぜぃ?」
「オマエとなんかと帰ったら余計危ないアル!!」
チャイナはずっと下を向いたまま叫んでいる。
「もう変なことはしやせんから・・・ね?」
「・・・・・・・・・・」
チャイナはそれでもしゃがみ込んだままなので、近くへ行き腕をつかみ持ち上げ立たせて、俺は歩き
出し引っ張って無理やり歩かせた・・・階段の前まで来た辺でチャイナがやっと自分の意思で歩き出し
たので、腕を離す。
早くもなく遅くもないペースでチャイナと並んで無言で歩いていると、夕日が更に赤みを増してきた
「おい、チャイナ夕日・・・綺麗だな・・・ってオイ?聞いてる?てか見てねぇだろぃ?・・・・・・・・・オマエなん
でずっと下向いてんでさぁ・・・」
「別に・・・意味はないアル」
「なんでぃ?そりゃぁ・・・」
俺がチャイナ顔に手をかけようよすると・・・パシッ!!・・・凄い速さで止められたので、もう片方の手を
出すとそれも止められたがそれと同時に顔も上がった
その顔を見て、凄い驚いたが同時に凄く可笑しく嬉しかった・・・
「!!!!!!っ・・・ちっ違っ・・・かっ勘違いすんじゃねぇーぞ!!・・・あっ暑いだけアル!!」
チャイナは顔がこれ以上無い位に真っ赤だった・・・
それを見た俺がニヤリと笑うとチャイナは慌てた・・・
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