連載V

□さよなら悲劇
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「ジェネシス、私は諦めが悪いんだ。お前がいなくなってもお前を救おうと奔走するだろうし、それはきっとお前の邪魔になるぞ。というか邪魔してやる」
「ひどいやつだ」
「それでいい。私は酷いやつだ。哀れなお前は振り回されていればいい」
「セフィロスと一緒に?」
「ああ」
「あの独占欲の塊は許さないと思うぞ」
「それで壊れるような関係だというならそれまでだろう。そう考える私はやはりどこかおかしいんだろうな。だがな、私、セフィロスとは最初身体だけの関係だったんだぞ。愛は後付けだ」
「初めて聞いたな」
「初めて言った。誰にも言ってないから。そもそも私はセフィロスのこと嫌いだったし」
「それも初耳だ」
「初めて言った。これも知りたいなら教えてあげる」
「そうか」
「セフィロスは私に執着しているのと同様にお前たちにも執着しているよ。言葉にはしないだけで。私たち4人の関係性を気に入っている。それでいて不変のものだと信じている。以前の私みたいに。だから意外と気に入るんじゃないか?」
「それはお前とセフィロスが恋人であって、俺とアンジールは親友ポジションだからだろう?」
「多少変っても大丈夫だろ。多分」
「自信ないのか」
「なぁジェネシス。私たち四人の関係に一番固執しているのは誰だと思う?」
「さぁな」
「私だよ。お前たちと出会った時では考えられないほどに私はお前たちに固執している。執着といってもいい。誰よりも私が一番、恐ろしいほどに……」
「サラサ?」
「だからな、お前たちが離れていかないためなら身の切り売りだって出来るわけだよ、私は」
「……」
「こんな私でも受け入れてくれる?」
「……どうせ受け入れないと言ったってお前は離さないんだろう?」
「ああ、当然だ」
「酷い女だ、全く。どうしてお前のような女を好きになったのか、自分でも自分がわからないな」
「あれじゃないか? 強い人間に惹かれるってやつ」
「お前のように、か?」
「私は別に強いからセフィロスを愛したわけじゃない。言ったろう? 後付けだって。特に私は……」
「なんだ?」
「これも後で纏めて話そう。とにかく一旦神羅に連絡を取るぞ。他のソルジャーたちはどこにいる?」
「近くの洞窟に潜ませている」
「なら、呼び出さないとな。みんなで帰ろう。神羅への復讐はお前の身体の異変を治してからだ」
「治るだろうか……」
「治るさ。私がついている」
「治らなかったら?」
「みんなで死のう」
「『みんな』か?」
「『みんな』だ」
「ふ……酷い女だな」
「知っているはずだぞ?」
「そうだったな」

唇を歪めて笑みを浮かべるジェネシスにサラサは艶やかな笑みを浮かべると、静かに彼の上から体を退かせた。そしてゆっくりと起き上がった彼の名を呼ぶ。
ジェネシスが顔を上げ、サラサは音も無く顔を寄せてその唇を奪った。

「っ……!」
「ごちそうさま」
「お前……!」
「なに?」
「……男前すぎるだろ」
「一妻多夫制が出来なかったらさ、セフィロスとジェネシスの戸籍弄って女に変更しよう。私は男に変える。それで一夫多妻制。完璧だ」
「……全然完璧じゃない」
「ま、そのあたりは追い追いな。復讐のあり方次第では、神羅乗っ取って自分たちのものにして、その辺りの法律変えることも可能なわけだし?」
「さらっと恐ろしいな」
「ま、壊すだけが復讐じゃあないってこと。とりあえず戦争終わらせて帰還しようか。セフィロスもアンジールも心配してる」
「……ああ」

立ち上がってジェネシスに手を差し出せば彼はその手を取って立ち上がった。
受け入れてくれたということが嬉しくて、サラサは思わず笑みを浮かべる。自身が提案したことは倫理的にも道徳的にも反感を買うだろう。決して許されないことかもしれない。だけれど、繋ぎとめることが出来るなら、それが最良の方法であるならば例え世界中から非難を浴びようともサラサは自身が選んだ道を貫き通す。その覚悟はある。

(喪うのはもう沢山だ)

そのためにも少しでも多く情報をかき集めなくては。

(さしあたっては宝条とジェネシスの担当だったホランダーだな。ホランダーのほうから攻めるか)

攻める理由はある。
それにーー。

(ラザードも最近きな臭いな。胡散臭い。少し突っついてみるか……)

病み上がりのジェネシスを戦地に向かわせたのはラザードだ。当初サラサとセフィロス、アンジールの反対を押し切っての決断だった。関わっていないというには説得力が足りない。

「どいつもこいつも怪しいやつばかだな……」
「なにか言ったか?」
「いーや、楽しみだなーって」

何が出てくるのか。

(何が出てこようと叩き斬るだけだ。大切なものはすべて守ってみせるさ)

「なあ」
「うん?」
「どのタイミングで言うんだ?」
「一妻多夫制?」
「ああ」
「帰ったらすぐ」
「そうか」
「どうして?」
「アンジールも混ぜてやろう」
「アンジールも?」
「LOVELESSの登場人物は三人の友と女神だからな。あいつも仲間入りだ。一人だけ蚊帳の外だと寂しいだろう」
「私は別に構わないけど。アンジールのことも好きだし。アンジールが良いって言ってくれれば惜しみない愛は三人で分割だな」
「上手くいけばな」
「いくさ。丸め込むのは得意だ」
「だろうな」
「ジェネシス」
「なんだ?」
「好きだよ」
「なんだ藪から棒に」
「愛してるは後付けだからな。今はまだ、好きだよ」
「……俺は愛してる」
「ふふ、ありがと」

柔和な笑みを浮かべて、手を繋いだまま歩き出す。
未来へ。
これから先、苦難はあろうとも四人の仲は死が別つまで変わらないことを信じて。








next or end……?

多分帰還後セフィロスをうまくまるめこんでの一妻多夫制発動する。アンジールも仲間入り。
色々調べたサラサはジェネシスとアンジールの治療、セフィロスの生い立ちを支え、原作改変を成功する。ソルジャー制度を廃止後、四人は神羅を飛び出して幸せに暮らすだろうと思われる。
書くとしたら裏夢まっしぐらなのは気のせいじゃない←

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