short
□晴れ女
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「‥‥暑い」
茹だるような暑さが9月に入った今尚、続いている。最低気温が例年の9月の最高気温並。このままでは死んでしまう。
「ホンマ暑ない?!たまには雨ぐらい降って欲しいわ!」
「‥ですよねー」
暑さ故か若干イライラしている気がしなくもない謙也に賛同し、ため息をついた。
例年以上の暑さ‥‥そりゃあ日本は変わっちまったのかもしれないよ。
「(だけど私が晴れ女なんだよなあー‥)」
そう、私は自他共に認める晴れ女だったりする。私が出掛ける時はほぼ100%が晴れ!特に夏は私の晴れ力が本領発揮をするらしく、外に出る時は確実に32度を越す。
「なあ、やっぱ名前晴れ女やん?」
「そっ‥‥そんなことないよ。気のせいだよ。」
「そうかなあー」
あああこの嘘何回めだろう。
晴れ女って、確かにいいイメージ有るかもしれないけど‥‥謙也的にはそんなことない。程よい暑さが好きな謙也だ。私が晴れ女なんて知ったら、もう私と出掛けたくなんてなくなるでしょ。
「暑い暑い暑い!ホンマ敵わんっちゅー話や‥」
「‥だねー」
「‥‥なあ、怒らんから言うてみ?自分、晴れ女やろ?」
「へ?な、何を言うんだ謙也‥‥そんなことないよ」
「白石が言うてたんやけど」
「白石かあああ!!」
あのイケメン!私が晴れ女なんだけど、どうしたらいい?って相談したらバラしたのか!もうあいつには何も相談なんかしない。
「‥ああ、そうさ。どうせ私は晴れ女よ」
「何で黙ってたん?」
「だって‥謙也は程よい暑さが好きじゃん。私といると必ず暑いって知ったら‥‥」
嫌、かなあ。なんて‥‥
小さく、呟くように謙也の顔を見ずに言った。だって謙也ズバズバ言うから、怖くて。
「別に‥俺は名前の性格と晴れっちゅーの合ってるから好きやで」
「ほへ、」
「‥やから好きて。別にそんな気にすんなし」
「‥‥‥」
「そ、それにアレやん?白石の彼女は雨女らしいで!雨女なら俺は晴れ女のがええっちゅーねん」
最後ら辺は確実に照れ隠しだった気がするんだけど‥‥でも、そんな謙也が可愛くてつい笑ってしまった。
「な‥‥に笑うとんねん」
「別にー」
「何やのもう!ほらあ、はよ行くで」
「え?あ、ちょっ引っ張らないでよ!」
ぐいぐい、とほぼ無理矢理引っ張ってくる謙也に、慌てて私も歩き始めた。
晴れ女
(耳まで真っ赤な君)
(太陽のせいじゃないよね?)
(だから余計嬉しかった)
fin.
→あとがき