short

□欝陶しい=KY
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「名前!」


「あ、蔵!」



と、名前が言ったかと思うと、俺は白石に吹き飛ばされた。



「今日も名前は可愛えなあ。世界一可愛えわあ」


「えへへ、蔵も世界一カッコイイよ!」


「大好きっ!もうホンマ愛しとるー」


「苦しいよ〜」



ぎゅううっと名前を力強く抱きしめる白石。そして俺は吹っ飛ばされた格好のまま二人を見ている。



「‥何してんすか謙也さん」


「さっき、名前と部活のこと話しとったら、あの‥‥あのアホが来て俺を吹っ飛ばしたんや」


「気安く名前って呼ばんといてくれる?名前は俺の彼女やねんで」


「蔵、そんなに怒らないであげてよ。私別に蔵しか大好きじゃないから」


「ホンマ?俺も名前だけが大好きや」



あああああ、

あああああああ!
名前は今俺を庇ってくれたハズなのに、何故かイラッとしてもうたし!単体でおる分にはええ奴らなんやけどなあ‥‥。



「‥あ、ちゅーしよった」


「‥‥何なんホンマ。あいつら二人セットやとアホに成り下がるんは何でや」


「単体やとマシな人間なんすけどね」


「これぞ完全なる化学反応や‥‥!普通プラスとプラスて足してもプラスなはずなのに!マイナスや!」


「プラスとプラスは掛けてもプラスなんすけどねえ」



漫画やったら、いちゃいちゃ。とか、べたべた。とかそんな音が出そうな二人に頭の血管がブチ切れそうになった。



「おい白石‥‥!ええ加減名前といちゃこらすんのやめろや‥‥見ててイライラするねん‥」


「俺らがラブラブなのが妬ましいんやな。わからんでもないけど、しゃーないやろ?全ては愛故やねん」


「ごめんね謙也」


「ぐうっ‥‥!」



確かにこいつらがラブラブで日常茶飯事的にいちゃいちゃしとるのは認める。しかし認めるのと、耐えるっちゅーのはまた別やねん。も、何やイライラすんなあ!



「名前‥‥髪の匂い、相変わらずエクスタシーな匂いするわ。」


「そう?有難う。でも蔵もいい匂いするー」


「はっはっ、ホンマか」



何故か白石は名前を抱きしめながらぐるぐると回り始めた。さすがに財前の顔も引き攣っている。



「‥‥キモいっすわ」


「もう何も言えん」




欝陶しい=KY

(どや財前、この方程式!)
(世界には数字で表せんことも有るんや)
(お前らバカにしとるんか)




fin.


→あとがき



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